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データガバナンスとは?メリットや円滑に進めるためのポイント

作成者: BI LAB編集室|2021年12月2日

データガバナンスの意義

近年データガバナンスという言葉を目にする機会が増えてきましたが、定義について明確な解説を掲載している資料は少なく、その本質を理解している方もそう多くないのが実情です。

しかし、この部分を疎かにしたままデータ分析ツールの導入やプロセスの構築を始めてしまうと、思うような結果が出ず、投資効果が見込めなかったりデータの取扱いを誤ったりするなど、会社や組織にネガティブなインパクトを与えてしまう可能性もあります。

そこでまず「データガバナンス」とは何かについて考えてみましょう。日本語で「データの統制」を意味するデータガバナンスは、どのようにデータを分析するかという「データマネジメント」のことではありません。データが正しく管理・処理され、組織内で分析プロセスが正しく規律を伴って機能していることをモニターするための仕組みのことです。

この仕組みを正しく運用することにより、組織内でのデータ分析結果の品質と安全性が確保されることになります。

 

データガバナンスの需要とその理由

データガバナンスは、データを扱うあらゆる組織で重要な役割を果たします。その需要の内容と理由、そしてデータガバナンスを導入する重要なメリットを3つ紹介していきます。

 

①組織内にデータ活用の土壌を作る

社内外で生み出される様々なデータをデータベースに蓄積し、各部門でデータを将来のアクションに活用するためには、データを扱う全従業員がその利点と具体的な活用イメージを持っていなければなりません。

社内に蓄積されたデータをどのように活用するのか、そしてその新しいプロセスが日常の業務改善や利益向上にどのように寄与するのか、データガバナンスを導入する中で従業員に説明し、守るべきルールやコンプライアンス等についても十分な理解を得る必要があります。

データ活用プロセスを構築・運用するには、当然ながら多大なコストと多くの従業員によるサポートが必要となります。そのためデータマネジメントと同時に、データガバナンスについても関係者に理解を促すことで、より効率的な導入に向けた土壌が出来上がることになります。

そして一旦全部門でデータガバナンスの内容を共有できれば、情報やデータをやり取りする部門間での齟齬やルールの違いを低減させることができ、組織全体の意思疎通の向上や横断的なデータ活用が期待できます。

 

②情報管理体制の強化と漏洩リスクを軽減する

上記のように組織の中でデータ活用を進めていくには、組織内の従業員がその重要性を理解し、データ活用の目的に沿った行動を取る必要があります。

そして一般的にデータ収集から分析・報告・活用のプロセスを構築するためには多くの人材が関与する必要がありますが、その一人一人の役責に応じた行動規範があります。

例えばデータを収集し、分析する過程においては、顧客情報や個人情報等の慎重な管理が求められる情報が含まれていることもよくあります。もしこれらの情報の外部流出が起きたことが分かれば、大きな社会問題に発展し、訴訟が起きたり企業ブランドが毀損されたりする危険性もあるでしょう。

また海外展開している場合には、法規制の観点でも各国の規制に従う必要があり(例えばGDPR:EU一般データ保護規則など)、データの取扱いに関して従業員への十分な周知と管理体制、問題が起きた際の対応方法について定めておかなければなりません。

組織内でデータを活用するためにはその重要性を理解し、その取扱いに強い責任感を持って臨む人材を育て、正しく機能していることをモニターする仕組みと、問題が起きた際に迅速に対応できる体制を整えておくことで、効果的なデータ活用が可能になるのです。

 

③高いデータ品質を確保する

社内で扱うデータが多岐に亘る場合、データの種類やデータベースのフォーマット、管理ルールなど部門間で異なっていることが多々あります。

データの管理方法や管理担当者の役責の範囲が部門間で異なっていると、横断的な分析がしづらく、データの統合や有用な情報の抽出が困難になります。

これらをデータガバナンスの下で統一することで、無駄がなく一貫性のあるデータ管理を実現できます。

スピード感のある意思決定のためには、正確性の高いデータが常に出力される必要があります。データ収集や処理の過程でエラーが度々起きると、意思決定を誤ったりスピードが遅れます。

 

データガバナンスを導入する際の注意点

もしデータ活用について過去に知見がなかったり、社内に経験豊富なスタッフがいない場合、独自にデータガバナンスの導入を実現するには困難を伴うでしょう。多くの場合は外部の専門家のサポートを必要とします。

データガバナンスを順守すべき対象者は、企業の経営層や従業員、派遣スタッフなどデータを利用するあらゆる層に及びます。また対象となるデバイスは社内のパソコンだけでなく、外出の際に持ち歩くスマホやタブレットなど、データを操作できる端末も含みます。

多様な状況それぞれに応じた役割や責任を含め、標準や手順書などをすべて一から作成することは困難です。

データの活用は顧客や市場の状況を把握でき、将来の有効なアクションにつなげることができる一方で、企業秘密を含むデータの漏洩や個人情報の流出などの大きなリスクを孕んでいます。

 

まとめ

ここまでデータガバナンスについて説明してきました。一見理解し難い概念ですが、データ活用を目標とする組織にとってなくてはならないものです。

様々な情報が電子化されている現在において、データ活用の機運が高まっているのは確かですが、データの取扱いを誤ったり、組織内でデータ活用のための環境が整っていない場合にはコストとリスクばかりが増大し、失敗に終わる可能性が高くなります。

データを将来の活動に生かし、他社に負けない競争力を得るため、各種ツールやプロセスを導入する際には是非データガバナンスの導入も検討してみてください。