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【Qlik Sense】地域ドリルダウンを行うマップチャートでスムーズな画面遷移を実現する【マップ&レイアウトコンテナ】

作成者: Deck|2025年10月07日

こんにちは。Deckです。

この記事では「国⇒州のようにドリルダウンするマップチャートで、国をクリックするだけでスムーズに州ごとの分析にドリルダウンする」仕組みの作成方法を解説します。

こんな方に向けておすすめ

この記事は次のような方に向けて書かれています。

  • 大まかな地域から細かい地域に向けてドリルダウンするマップチャートを作成してみたい
  • Qlik Senseのスキルアップのために、作成できる分析オブジェクトのレパートリーを広げたい
  • 作成したQlik Senseアプリが何度も利用されることを念頭に、アプリの操作性にこだわっている

マップチャートを比較してみる

まずはデフォルトの機能のみを利用したマップと、より工夫を加えたマップの2通りのチャートを見比べてみましょう。

いずれも、「初期状態では国ごとの人口分布が表示されており、国をクリックして絞り込むと地域の情報にドリルダウンする」という仕組みのマップチャートです。

パターン①:デフォルトのマップチャートのみを利用したマップ

デフォルトのマップチャートでは以下のように3ステップの操作の流れになります。

  1.  国(アメリカ)をクリック
  2.  画面右上のチェックマーク(✅)をクリックして仮の選択を確定
  3.  地域(州)ごとの分析が表示される

パターン②:レイアウトコンテナを利用したマップ

それに対して、レイアウトコンテナを利用したマップでは以下のように2ステップとなり、中間の手順を省略してよりスムーズな操作で分析を行うことができます。

  1.  国(アメリカ)をクリック
  2.  地域(州)ごとの分析が表示される

これによって節約できる手順はわずか1ステップかもしれませんが、Qlik Senseでの分析は何度も選択を繰り返してデータを理解してゆくことが多いため、こういった細かい改善でもユーザーの満足度は変わってくるものです。

では、次のセクションからはチャートの作成手順を見てゆきましょう。

作成手順

まずはQlik Senseアプリを作成します。

事前準備として、国・地域ごとの人口データをアプリに取り込んでいるものとします。

世界人口マップ・地域人口マップ作成

世界全体の人口と地域ごとの人口を分析するため、2つのマップチャートを作成します。

シートの編集画面を開き、「マップ」チャートを追加します。

ポイントレイヤーを作成し、以下の設定項目を入力します。

  • 項目:国
  • 場所:国
  • サイズの単位:Sum(人口)
  • ラベル:人口

同様に2個目のマップチャートを作成し、以下の設定項目を入力します。

  • 項目:州名
  • 場所:州名
  • サイズの単位:Sum(州_人口)
  • ラベル:人口

マスターアイテムへの追加

この後の手順で使用する「レイアウトコンテナ」では、表示するチャートはマスターアイテムになっている必要があります。

マップチャートを右クリックし、「マスター アイテムに追加」をクリックします。

チャートに名前をつけ、マスターアイテムとして保存します。

世界人口チャートと地域(州別)人口チャートの2回分、操作を繰り返します。

レイアウトコンテナの作成

続いて、今までの手順で作成したマップを1つの画面の中で切り替えて表示ができるようにレイアウトコンテナにまとめ、表示条件を設定します。

シートの編集から、「カスタムオブジェクト⇒Layout container」を追加します。

「コンテンツの追加」から先ほど作成した2つのマスターアイテムを追加します。

 

それぞれのコンテンツに設定を入力します。

  • 個別設定:
    • ラベル:
      • 「世界人口マップ」
      • 「州別人口マップ」
    • 条件の表示:
       国を選択しない状態では世界全体、国を選択すると地域表示に切り替えるために次の数式を入力します。
      • 世界人口マップ:「GetSelectedCount(国)=0」
      • 州別人口マップ:「GetSelectedCount(国)>0」
  • 共通設定:
    • 幅、高さ(%):100
    • X軸、Y軸(%):0

完成

これでマップチャートが完成しました。

より直感的な操作や素早いレスポンスなど、快適な操作性はユーザーの満足度に直結します。

1つ1つの改善点は細かいところかもしれませんが、こういった差がせっかく作成したアプリを継続して利用されるかどうかに関わってくるかもしれません。

この記事がよりユーザーフレンドリーな分析アプリを作成する助けになれば幸いです。