Qlik Senseナレッジ - INSIGHT LAB

QlikView vs Qlik Sense -違いと移行の検討について-

作成者: Lily|2024年6月25日

QlikView - 1990年代に生まれたセルフサービス型BI - 

QlikView発売当時の従来型BIは、事前の計画に基づいて専門の技術者が作成し、それを分析者が使用するという大掛かりなものでした。データをディスクから読むので、演算に時間がかかる上、費用も高額で技術者も少数でした。

そんな最中に誕生したQlikViewは、データをメモリから読むことで高速化。廉価で、専門の人材がいなくても手軽に分析ツールを構築できるようになりました。

Qlik Sense - 真のセルフサービス型BI -

とはいえ、QlikViewでデータを使いやすく加工する際のスクリプト作成や、データモデルの構築、各チャートの細かい設定などを十分に使いこなすには、一定の習熟を必要としていました。

新しく誕生したQlik Senseでは、複雑なコードを書かずとも、感覚的な操作でデータ加工、データモデルの構築、視覚的に優れたチャートの作成を行えるようになりました。その一方で、引き続きスクリプトで細かく加工したり、複雑な数式を組み込むことも可能です。

また、AIや自然言語処理などの最新のトレンドにも対応。継続的にバージョンアップが行われているため、今後も更なる利便性の向上が見込めます。

QlikView vs Qlik Sense

Qlik Senseの誕生によって、手軽に、美しいビジュアライゼーションを実現できるようになった一方で、QlikViewにしか無い利点もあります。

Qlik Senseでは、ユーザーが手軽に分析用の画面を作成できるように、一定の型というべきものが存在しています。例えば、オブジェクト(チャートや表、ボタンなど)を配置する際には、あらかじめ定められたグリッドに沿ってサイズや位置を調節します。

QlikViewでは、オブジェクトのサイズや位置を1px単位で細かく調整できます。その上、いくつものオブジェクトを同じ座標上に置いたり(レイヤー構造)、文字サイズや凡例の位置までも柔軟に変更することができます。

Qlik SenseにはQlikViewほど柔軟なカスタマイズ性はありません。しかしその分、ややこしい設定を行わなくても、自動でデザイン性に優れたオブジェクトが作成できますし、ウィンドウサイズが変化しても各オブジェクトが比率に応じたサイズになるため、圧倒的に見やすいのです。見たいチャートをすぐに、見やすく作成することができるという点では、Qlik SenseはQlikViewよりずっと優れています。

また、QlikViewでは複雑な作りこみが可能な反面、管理や改修に手間取ることも多々あります。各自で多様な種類のアプリを作成したい場合は、メンテナンスが容易であるQlik Senseのほうが適しています。

少数のアプリを詳細に作りこんで、同じ見方で定期更新データを分析したい場合はQlikView、各々で都度、多様な角度や最新の方法を試しながら分析・深堀りしていきたい場合はQlik Sense…といったように、目的に沿っている方を選択するのが望ましいでしょう。

QlikViewからQlik Senseへの移行

すでにQlikViewをお使いになっていて、移行するべきかどうか迷っている…という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

QlikViewの利用を打ち切り、Qlik Senseのみを使用していくとなると、これまで利用してきたQVWをQlik Senseに変換して利用を継続したい場合もあるかと思います。そのような場合、Qlik公式が提供しているQlikView converterを使用すれば、自動でQlik Senseに変換することができます。

しかしながら、上記でもご紹介した通り、両者の機能には大きな違いがあります。そのため変換できない機能やオブジェクトも存在するのですが、Qlik Sense側の機能をうまく用いれば、手動で再現できる可能性もあります。例えば、コンテナは自動で変換されませんが、Qlik Senseにもコンテナ機能が存在するため、手動で構築することができます。

もし再現できない機能があった場合も、要件を満たすように再構築することで、Qlik Senseで利用を継続できる可能性があります。

ただし、見た目の完全な再現(上記で言うところの1px単位の調整・レイヤー構造など)は不可能です。QlikViewのようにより細かい作りこみを行いたい場合は、Vizlibなどのエクステンションも併せてご検討をお勧めいたします。

このような手動での再構築はQlikView及びQlik Senseの両方に精通していなければ困難ですし、QlikViewの作りこみが詳細なほど、どのような構造になっているのか紐解いて行かねばなりません。

自動変換やご自身での再構築では困難だと感じる場合や、そもそもQlik Senseで代替可能なのか判断しかねる場合には、ぜひ当社にお問い合わせください。