Tableauは「ドラッグ&ドロップでグラフが作れる」だけのツールではありません。
実務でこそ重宝されるのが、“計算フィールド”による柔軟な集計や指標の作成です。
この記事では、Tableau Desktop(またはPublic)などで使える実務的な計算式を10個ピックアップし、用途・ポイント・例付きで紹介します。
SUM([売上]) / TOTAL(SUM([売上]))
用途:カテゴリ別の売上構成など
使用例:カテゴリ別売上の構成比を円グラフで表示し、最も売れているカテゴリを強調
解説: 全体に対する各要素の比率を求めるときに便利です。TOTAL()
関数を使うことで、視覚的にどのカテゴリが大きな割合を占めているかがすぐに分かります。円グラフや積み上げ棒グラフに最適です。
(ZN(SUM([売上])) - LOOKUP(ZN(SUM([売上])), -1)) / ABS(LOOKUP(ZN(SUM([売上])), -1))
用途:前年比で成長率を可視化
使用例:2023年と2024年の売上を比較して、年ごとの成長率を棒グラフで表示する。
解説: 前年の売上と比較して、今年の成長度合いをパーセンテージで表示できます。LOOKUP()
関数はテーブルの前後を参照できるため、前年・前月との比較が可能です。
WINDOW_AVG(SUM([売上]), -2, 0)
用途:短期変動を平滑化してトレンドを見たいとき
使用例:毎月の売上を3か月の移動平均で線グラフにし、季節変動を平滑化する。
解説: WINDOW_AVG
を使うことで、過去数期間の平均を滑らかに可視化できます。マーケティング施策の影響や季節変動を除去した“本来の傾向”を見るのに役立ちます。
RANK(SUM([売上]))
用途:店舗別・営業別・商品別の売上ランキングなど
使用例:商品カテゴリごとの売上金額を比較し、上位5つのカテゴリにハイライトを表示する。
解説: 売上の多い順に順位を付けられます。ダッシュボード上で順位を表示したり、条件付き書式で1位のみ色を変えるといった工夫も可能です。
INDEX()
用途:Top N表示、行番号ラベルなど
使用例:売上順に並べた商品リストに連番を振り、見やすく整理する。
解説: 並び順に応じたインデックス(順位ではない)を付けることができます。上位10商品だけに色を付ける、などの条件設定に役立ちます。
IF SUM([売上]) >= [売上目標] THEN "○" ELSE "×" END
用途:しきい値を超えたか否かを明示したいとき
使用例:営業担当ごとの売上が目標を達成しているかを○×で一覧に表示する。
解説: 達成フラグを可視化すると、ダッシュボード上で誰が目標を達成したかが一目瞭然になります。テーブルに組み込んで使うのが定番です。
IF SUM([売上]) > 1000000 THEN "High"
ELSEIF SUM([売上]) > 500000 THEN "Middle"
ELSE "Low"
END
用途:数値レンジでラベルをつける(ヒートマップにも活用)
使用例:売上に応じて店舗をHigh/Middle/Lowに分類し、色分けしたヒートマップにする。
解説: 数値帯で条件分岐を作ることで、グルーピングによる見やすさが格段に向上します。色分けマップや棒グラフに使われます。
DATETRUNC('month', [オーダー日])
用途:月単位の集計軸に使う
使用例:売上データの日付を月単位に揃えて、月ごとの集計グラフを作成する。
解説: 日付を丸めて月単位・四半期単位などにすることで、粒度を揃えた集計が可能になります。DATETRUNC
はとてもよく使う関数です。
IF [オーダー日] >= #2024-01-01# AND [オーダー日] <= #2024-03-31#
THEN "Q1"
ELSE "その他"
END
用途:四半期・特定キャンペーン期間の抽出
使用例:Q1に実施したキャンペーン対象の注文だけを抽出し、効果を分析する。
解説: 期間を明示的に指定することで、特定の時期に限定した傾向分析が可能になります。棒グラフの色分けなどにも活用できます。
{ FIXED [顧客名] : SUM([売上])
用途:顧客ごとの累積売上など、「粒度を固定」したいとき
使用例:顧客ごとの累積売上を求める。
解説: FIXED LOD を使うと、表示ビューの粒度に関係なく、特定の次元(例:顧客単位)で計算が固定されます。複数の粒度を組み合わせる分析や、再利用可能な安定した指標作成に便利です。
実務でもよく使われる10個の計算式を紹介しました。
これらを使いこなせるようになると単なる可視化ではなく、洞察を生み出す分析が可能になります。
Tableau CloudやServer環境がなくてもTableau DesktopやPublicで再現できるため、安心して学習・記事作成・発信に活用できます。