目次
コンテナとは
コンテナとは、アプリケーションとその動作に必要なライブラリや設定ファイルをひとまとめにしてどんな環境でも同じように動かせるようにする技術です。コンテナはホストOSのカーネル(OSの一番大事な部分)を共有するため、仮想マシンと比べて軽量です。
- 仮想マシン:パソコンの中にもう一台のパソコンを作るような技術で、それぞれが独立したOSを持ちます。
利用例(ECサイトの場合)
本社が東京で、大阪と札幌に支社を抱えている会社があるとします。
悩み
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解決法 本社基幹システム(注文・在庫・配送)をコンテナ化し、各拠点で同じコンテナを使う。 |
期待できる成果 ①運用の標準化・効率化 ②拠点追加や海外展開の迅速化・低コスト化 ③障害対応やアップデートの迅速化 |
以下の図が上記の流れを示したものです。背景色は各拠点の個性を示しています。
コンテナのメリット
コンテナを導入することのメリットは以下の5つです。
軽量性・高速性
コンテナは「軽量な仮想化技術」です。仮想マシン(パソコンの中にもう一つのパソコンを作る仕組み)と比べて、コンテナは必要なものだけをまとめて動かすため、パソコンやサーバーのCPUやメモリなどのリソース(計算する力や記憶する場所)を効率よく使用できます。そのため、アプリケーションの起動や停止が高速化します。
環境の違いによるトラブルの減少
コンテナはアプリケーションと、そのアプリケーションを動かすために必要な設定やプログラム(ライブラリ:追加の機能や部品のようなもの)を一つのパッケージにまとめて管理します。それにより、開発環境・テスト環境・本番環境といった異なる場所でも同じ動作を再現できます。
開発・運用の効率化
コンテナを使うことで、アプリケーションを動かすための環境を簡単に作ったり、変更をすぐに反映したりできます。開発者と運用担当者の連携がスムーズになり、作業時間や手間を大きく減らすことができます。
スケーラビリティ(拡張性)
コンテナは、必要に応じて数をすぐに増やしたり減らしたりできます。このように、システムの規模を簡単に調整できる性質を「スケーラビリティ(拡張性)」と言います。これにより、急に利用者が増えても、コンテナを追加するだけで対応できます。
障害時の影響範囲の限定
コンテナはそれぞれ独立して動いているため、もし一つのコンテナで障害(トラブル)が発生しても、他のコンテナには影響しにくいです。そのため、システム全体の安定性が向上します。
コンテナ管理ツール3選
ここからはコンテナを管理するツールを3つご紹介します。
Docker(ドッカー)
コンテナの作成・実行・管理を一元化するプラットフォームです。一つの場所でまとめてコンテナを管理できるため、初心者におすすめです。
さらにDocker DesktopではMac、Windows、Linuxに対応しています。
Podman(ポッドマン)
Dockerとよく似た使い方ができるツールです。「デーモンプロセス(常駐サービス)」が不要なため、よりシンプルにコンテナの管理ができます。
また、コンテナを長く動かしたい時や自動で動かしたい時にも便利です。さらに、Kubernetes(コンテナをまとめて管理する仕組み)用の設定ファイルもすぐに作ることができます。
- 公式ページ:https://podman.io/
Kubernetes(クバネティス)
たくさんのコンテナをまとめて自動で管理できるツールです。アプリケーションをどう動かすか自動で決めたり、トラブルがあった時に自動で修復したり、アプリケーションの新しいバージョンへの切り替えも簡単にできます。
また、いろいろなクラウドサービスや自社サーバーを組み合わせた環境でも使うことができ、設定内容もまとめて管理できます。
ツール比較
先ほど紹介した3つのコンテナ管理ツールを5つの観点で比較しました。
Docker | Podman | Kubernetes | |
仕組み | クライアントとやり取り | 特別なサービスなしで利用 | 多くのコンテナをまとめ管理 |
安全性 | 管理者権限が必要 | 管理者権限無しで利用可 | 使用者を分類し管理可能 |
広げやすさ | 1台のパソコン向き |
多くのパソコン、複数サーバー対応 |
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難しさ |
易しい (初心者向き) |
普通 (Docker知識あると安心) |
難しい (専門的な知識必要) |
以上を踏まえて、各ツールはこのように使い分けるのがおすすめです。
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まとめ
本記事では、コンテナについて概要と3つのツールを中心に紹介しました。
各ツールは併用可能で、「Dockerで開発し、Kubernetesで本番環境にアプリを公開(デプロイ)して運用する」といった使い方も可能です。
目的に合わせて、ぜひご活用ください。