BI LAB データ活用研究所 - INSIGHT LAB

DMBOK2を読み進めてみる「データマネジメントの原則」その2

作成者: Kin-chan|2024年6月27日

はじめに

 こんにちは!INSIGHT LAB株式会社のKin-chanです。IT業界に居なかった人がデータのことについて理解しようとするこのシリーズ。今回が第4回目となります(第1回目の記事はこちら、第2回の記事はこちら、第3回目はこちら)。しつこいようですが中の人の自己紹介です。

  • ニックネーム:Kin-chan
  • 千葉県船橋市生まれで現住、44歳、2023年6月INSIGHT LAB株式会社へ入社
  • 前職は水産物の卸売小売(「浜の仲買(漁師さんが獲ったアサリやホンビノス貝などの2枚貝を仕入をし、豊洲や横浜・盛岡など全国各地の卸売市場)」の商売をしていました)
  • つまり前職は弊社のようなIT業界に居なかった人でした
  • 将棋が好き(推しは豊川孝弘七段と木村一基九段、解説でのお話しぶりが楽しいので)

 さて今回は「データマネジメントの原則」の後半戦です。前回に引き続いてデータマネジメントの原則について追いかけてみましょう。

データマネジメントには様々なスキルが求められる

データマネジメントは機能横断的な活動

 全組織のデータを一つのチームで管理することはできない。データマネジメントには技術的、非技術的なスキルと協調性が必要である。

 ここではDMBOK2からの引用としました。ここまで見てきたことと同じようなことが述べられていますね。大事なことだから何回も出てきます(という書き方も何度もしてしまっている自分がおります)。

 今までと少し違う言いかえが出てきましたね。技術的、非技術的な「スキルと協調性が必要である」。IT側と非IT側という表現を多く使ってきましたが、より具体的に「ITスキルと各部門間での協調性」が必要であるという述べられていますね。

データマネジメントには全社的な視点が必要

 データマネジメントが局所的に適用されることはあるが、できるだけ効率的に行うとしたら企業全体に適用されなければいけない。これがデータマネジメントとデータガバナンスが絡みある一つの理由である。

 データマネジメントは局所的に適用するよりも全社的に大局的な視点で適用した方がより良い効果が得られます、ということですね。

 さてここで「データガバナンス」という言葉が出てきました。少しまとめると以下のようにデータガバナンスが戦略的観点であり、データマネジメントが戦術的観点であることが分かります。

  • データガバナンス:データ管理をするための計画、監視、(言葉通り)統制
    →戦略的観点
  • データマネジメント:データガバナンス観点をもとにデータを常時利用可能な状態に維持改善をする
    →戦術的観点

 戦術的観点で行動をするためには戦略的観点が必要です。「戦略」という言葉は「戦いを略す」ですから、いかに戦わずに勝つことが必要か、ということを考えるところからきています(データガバナンスやデータマネジメントが戦いであるということではありませんのであしからず)。戦略を達成するために戦術が必要なので、データマネジメント(戦術)に取り組むことでデータガバナンス(戦略)が達成される、ということになります。

データマネジメントは幅広い視点を考慮することが必要

 データは流れる液体のようなものである。データが生成され利用される方法や、データ利用者の変化に対応するために、データマネジメントは常に進化しなければならない。

 データマネジメントは1度立ち上げたら終わりではなく、常に変化している時代やニーズに対応するためにデータマネジメントを進化させていく必要があるということですね。

データマネジメントはライフサイクル管理である

 データにもライフサイクルがあり、データの管理とはそのライフサイクルを通じた管理である。データがデータを生み出すことを考えるとデータライフサイクルは非常に複雑になる。データマネジメントを実践するにはデータライフサイクルを考慮しなければならない。 

 一般的にライフサイクルというと人間が産まれて、成長し、老後を迎えるというように人生設計に対して使われる言葉ですが、データについてもライフサイクルがあるということですね。データが作られ、活用し、保存され、再利用されたり廃棄されたり、というのがデータライフサイクルであるとされています。

データは種類によってライフサイクルの性格が異なる

 データの種類によって求められる管理方法も異なるので、データの種類や管理方法の違いを認識し、様々なデータライフサイクルの要求に柔軟にこたえられるようにする必要があります。データの種類についてここでの原則の項には記載がありませんが例えば以下のようなものがあります。

  • トランザクションデータ
  • マスターデータ
  • メタデータ

 トランザクションデータであればリアルタイムにデータの更新が行われるし、マスターデータは定期的に更新が行われることが多いと思います。リアルタイムに更新があるデータと、トランザクションと比較して更新頻度が低いデータに対してはデータ管理の方法や考え方も異なりますよね。更新頻度の視点で見ればデータの種類が異なるからデータに対するライフサイクルも異なるということです。

データに伴うリスクを管理することもデータマネジメントに含まれる

データは組織の資産であるとともにリスクでもある

 お金やクルマや建物などの資産にもリスクがありますよね。盗まれたり、壊れて修理が必要になったりする可能性があるから、お金なら現金で手元に置いておくよりは銀行に預金をしたり、モノであれば壊れたりしても補償が受けられるように自動車保険や火災保険のような保険に入ったりすることで、資産に何かあっても備えますよね。

 データについても備えが必要で、「データは消失したり、盗まれたり、誤用される」ことがあります。データが保存されているディスクが壊れて消失する、データが流出することで盗まれる、等のことに対して備える必要があるわけです。これらのデータに関するリスクはデータライフサイクルの一環として管理される必要があると述べられています。

さいごに

 データマネジメントの原則について2回に分けて追いかけてきました。

 次回は「データマネジメントの課題」がテーマです。今回の記事で紹介したデータマネジメントの原則はあくまで原則ですから、実問題に適用させる場面ではいろいろな壁にぶつかるものです。データマネジメントを自社で展開させるときに考慮すべきことが課題として述べらているのかなと予想しています。実際のところどんな記述があるのか楽しみであります。項目が多いので回を分けてのご紹介になると思います。

 IT業界に居なかった中の人がデータのことについて理解しようとするこのシリーズ、次回もお楽しみに!

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