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DMBOK2を読み進めてみる 第1章(その1)

執筆者 Kin-chan 更新日時 2023年12月25日

目次

はじめに

 こんにちは!INSIGHT LAB株式会社のKin-chanです。中の人が44歳のおじさんなのに「ちゃん付けかい」というツッコミは甘んじて受けます。改めて中の人の自己紹介をしておきます(あと何回かだけ自己紹介にお付き合いください)。

  • ニックネーム:Kin-chan
  • 千葉県船橋市生まれで現住、44歳、2023年6月入社
  • 前職は水産物の卸売小売(「浜の仲買(漁師さんが獲ったアサリなどの2枚貝を仕入をし、豊洲や横浜・盛岡など全国各地の卸売市場)」の商売をしていました)
  • つまり前職は弊社のようなIT業界に居なかった人でした

 IT業界に居なかった中の人がデータのことについて理解しようとするこのシリーズ。今回が第1回目となります(第0回目の記事はこちら)。

第1章 データマネジメント

 DMBOKは「Data Management Body Of Knowledge(データマネジメントの知識体系)」の頭文字をとってDMBOK(でぃんぼっく、と呼ばれることが多いので私もそのように読みます)と呼ばれています。DMBOKは2011年に第1版の日本語版が出版され、2018年に日本語版第2版が出版されました。

 第1章を読み始めて数ページ進めるだけでも「データマネジメントとは」という大事な言葉が出てきますので、データマネジメントについて、関連して「データとインフォメーション」というキーワードが出てきます。今回の記事ではこの二つについて記そうと思います。

今日のことば その1.データマネジメント

データマネジメントとは、データとインフォメーションという資産の価値を提供し、管理し、守り、高めるために、それらのライフサイクルを通して計画、方針、スケジュール、手順などを開発、実施、監督することである。

 これを読んで疑問が湧きました。

  • データとインフォメーションって似てない?どゆこと?
  • 資産ってお金になるものに使う言葉じゃないの?
  • ライフサイクル?

 さらに続けて「データマネジメント・プロフェッショナル」という言葉も出てきます。

データマネジメント・プロフェッショナルとは、戦略的な組織目標を達成するため、データマネジメントのあらゆる局面で働く人達を指す。あらゆる局面とはライフサイクル全体を通じたデータの技術的管理から、データの適切な活用を保証することまでを含む。彼らは高度な情報技術(データベース管理者、ネットワーク管理者、プログラマなど)からビジネスにおける戦略的事業(データスチュワード、データストラテジスト、チーフ・データオフィサー)まで様々な役割に携わる。

 ふむふむ、データマネジメントプロフェッショナルは言葉通りデータマネジメントのプロということか。そいでもってスチュワード=執事、管財人、ストラテジスト=戦略を立てる人、チーフデータオフィサー=企業の最高データ責任者、CDOってChief Data Officerのこと。

 ちょっとだけまとめると、データマネジメントは技術面での観点と戦略立案面での観点とが必要だということですね。

 「データを取り扱う」と聞くとどうしてもITの技術に傾倒しているというイメージを持っていましたが、ITではない側面にも考慮が必要で、スキルとしてもITスキルも非ITスキルも必要だいうことですね。この両側面を一人で担うのは困難だから両分野の人材が必要で、戦略的なニーズを満たすために両者が連携・協力して取り組む必要がありそうです。この先をパラパラっと読み進めても「IT側の人 と 非IT側の人」の連携に関する記述が随所に出てくるので、大変に重要だということが分かります。どちらかだけの頑張りではデータマネジメントの実現はできません、データマネジメントに関わる人たち皆で頑張りましょう、ということですね。

データマネジメントのゴール

  • 自社や顧客・従業員・ビジネスパートナーを含むステークホルダの情報ニーズを理解し、サポートする
  • データ資産を取得し、保管し、保護し、健全性を担保する
  • データとインフォメーションの品質を担保する
  • ステークホルダが保有するデータとプライバシーと機密性を確保する
  • 不正または不適切なデータとインフォメーションへのアクセス、操作・使用を防止する
  • 企業が付加価値を創造するためにデータを効果的に利用できるようにする
 ちょっとだけ要約してみましょう。
  • ビジネス側である非IT側の想い(ニーズ)をIT側が理解して、セキュリティ面なども考慮しつつどのようにIT技術で実現するか
  • 実現するだけを目的にせず継続的にデータを利活用しましょう

 これがデータマネジメントのゴールであると述べられています。そしてこのような記述もあります。

  • データマネジメントの意義は「組織がデータ資産から価値を得られるようにすること」
  • データマネジメントの失敗は企業資本(お金や物的資産?)の管理に失敗することと同じで、好機を逃すことにもなる

 企業資本の管理の失敗が企業経営の失敗であるように、データ管理の失敗がデータマネジメントの失敗につながる。DMBOKとしては「データ=資産」であるので、「データマネジメントの失敗が企業経営の失敗にもつながるよ」ということがイイタイコトなのですね。

今日のことば その2.データとインフォメーション ~データは資産?~

 さて「データ=資産」という言葉が出てきています。一旦キーワードを整理しないといけません。

  • データとは、インフォメーションとは
  • 資産とは

 ということでこれらについて見ていきましょう。

データとインフォメーション

 先にも述べましたがデータとインフォメーションって同じ意味のような感覚を持ちました。DMBOKにはこんな記載があります。

データ < インフォメーション < ナレッジ < ウィズダム

 データを原材料としてインフォメーション(情報)が産まれ、ナレッジ(知識)になり、ウィズダム(知恵)になる、ことを表現しています。この階層構造について次の注意点があるとしています。

  • (ITを利用した)データは存在することが前提だが、データが存在しないこともある(例.紙データのまま、担当者の頭の中)
  • 前述の順序でデータからウィズダムを表記する場合に、データを生成する場面で(データ品質を上げるため)ウィズダムが必要なことに気付かれていない
  • データとインフォメーションは違うものだという意味が含まれているが、実際には両概念は複雑に絡み合っておりたがいに依存している

 データがITで取り扱われていることが前提になっているようです。だから「データがITのものとして存在しないこともある」という記述につながるのかなーと感じました。

 さて、データとインフォメーションは若干意味が違うような書き方をしましたが、DMBOKでは

「データとインフォメーションは同じように取り扱う」

 としています。

  • データ:生データ
  • インフォメーション:ちょっと加工したもの

と認識いただくとよろしいかと思います。データとインフォメーションを会社の売り上げに関することで分類してみると下記のような例を作ることができます。

 ある会計期間での売上高や原価などの決算書で上がってくる金額をデータ(素材)としてとらえると、次のような指標が計算できます。

  • 粗利益率(%) = (売上高 ー 原価) ÷ 売上高 × 100
  • 営業利益率(%) = 営業利益 ÷ 売上高 × 100

 ここで挙げた粗利益率や営業利益率のような指標がインフォメーションである、ということになります。営業利益とは、原価とは、という言葉としては目にしたことはあると思いますが説明はここでは省きます。

 「売上がすっごい増えた、やったー」と喜んでいても仕入や販売管理費(上の粗利益率の式でいうところの原価)が増えていたら会社の利益は大したことがない、むしろ悪くなっていることも多々あります。「売上が増えても会社としては健全かどうか」を見るための指標として粗利益率や営業利益率などの指標を見る必要があるのです。

 見たい指標があるとするならば、指標を計算するために生の数字が必要ですよね。

  • 生の数字(決算書に載る) = データ
  • 見たい指標(決算書に載らない) = インフォメーション

 となることから、データもインフォメーションも必要であるということが分かります。ちょっとだけ話を戻しつつまとめると、DMBOKでは

「データとインフォメーションは同じように取り扱う」

ということを言っているのですね。

資産とは

資産とは、会計学用語であり、財務会計および簿記における勘定科目の区分の一つ。会社に帰属し、貨幣を尺度とする評価が可能で、かつ将来的に会社に収益をもたらすことが期待される経済的価値のことをいう。資産の額の総合計を総資産と呼ぶこともある。(Wikipediaより引用)

 資産とは貨幣(お金)を尺度として評価が可能で、将来的に会社に収益をもたらすことが期待される経済的価値である、ということですね。実際に資産はお金や物的なもの(機械、土地、建物、いわゆる固定資産、有価証券など)で表現されていますよね。

 また会社の経営状況を表現するための財務諸表(いわゆる決算書)というものがあります。貸借対照表(P/L)、損益計算書(B/S)、キャッシュフロー計算書(C/F)があり、中でも貸借対照表は決算日時点での会社の資産を表現します。貸借対照表では「資産=負債+総資産(資本)」という原則があり資産状態が会社の経営を表現する上でも重要な指標として用いられます(もちろん他の指標も重要です)。

 このように会社の資産が会社にとって重要であることは皆さんご存知の通りだと思います。DMBOK的にはデータも同じくらい重要なんですということを伝えたいようで、一般的な資産とはこのようなものです、という記述があります。

  • 資産は経済的資源で、所有可能、管理可能でそれ自体に価値があり、価値を生み出すことができるもの
  • 資産は換価可能
 つまり資産はお金に換算できると言っていますから、DMBOK的にはデータも資産に含めましょうと言いたいはずです。

DMBOKがイイタイコト=「データは資産である」

 データは資産であるということは換価可能であるということですね。いまいち想像がつきづらいですよね。

 会計の用語で「のれん」というもの(勘定科目といったほうがいいかな、勘定科目という言葉があるんだな、くらいに難しく考えなくていただいてOKです)があります。すごくざっくりいうと、会社が存在すること自体に価値(お金)があるという概念です。

 例えばこんな農家さんがいるとしましょう。農家さんの本業はお野菜を生産して販売をすることですよね。この農家さんのお野菜が有名で、地元野菜の啓蒙活動などを活発にされていることからTVや新聞等メディアへ取り上げられることが多い方でいらっしゃる。この農家さんの貸借対照表としては一般的な資産がもちろん存在しますが、「この農家さんの啓蒙活動によるメディアへの露出具合」をのれんとして換算することが可能である、いうことになります。

 データは資産であると考えたいとするならば、データの価値に対しても「見える化」、つまり会社に存在するデータをお金に換算できる方法があると、とても分かりやすいですよね。いわゆる決算書も数字の羅列だけでとても分かりずらいと思います。私も前職で会社を経営していた時は決算書を見るのに苦労しましたが、会計事務所さんによっては「決算書の見える化サービス」をされている会計事務所さんもあります。こちらのおかげで会社の見える化が進められて助かりました。

 先に挙げたのれんもイメージは付きずらいものですが、実際にはのれんという勘定科目によって貸借対照表に載るケースもあるので、データに対してもデータの見える化が何とかできるはず!、というのが私の理解であります。この章ではここまでにとどめておきましょう。DMBOKでもこの先に記述があるのでしょう。データ価値の見える化、大事になりそうですね。


今回のまとめ

 さぁ随分と書いてますがDMBOKでは5ページ分の内容です。私の中での理解を進めるためにいろいろと書いてしまいました。言葉の定義に当たる部分なのでしっかりとやってみました。次回以降はもうちょっとさらっと進めると思います(未定)。

 ということで今回の内容をちょっとまとめてみましょう。

  • データマネジメントはIT側と非IT側の両方の協力がないと実現しません
  • DMBOKではデータとインフォメーションを同じ価値があるものとして取り扱います
  • データは資産と同じです
  • 資産管理の失敗=会社管理の失敗と同じように、データ管理の失敗=会社管理の失敗になりかねません

さぁ~て、次回のIT業界に居なかった中の人がデータのことについて理解しようとするシリーズでは

  • データは資産である ちょっとだけ続き
  • データマネジメントの原則

について記そうと思います。次回もお楽しみに!

 また弊社INSIGHT LAB株式会社では「CONPASS(データ特化DXコンサルティングサービス)」というサービスも提供しておりますので是非ご参照ください。CONPASSについてはこちらから。

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Kin-chan

執筆者 Kin-chan

千葉県船橋市出身・在住、44歳のIT業界ほぼ未経験のおじさん。前職では水産物(アサリやホンビノス貝などの2枚貝)の卸売小売(漁師さんから仕入れて、卸売市場への販売や通販サイト等で直接販売)の商売を経営していました。当時知られていなかったホンビノス貝をもっと知ってもらう活動やホンビノス貝の自動販売機、地元船橋の皆さんをつなげたくて朝市の開催なども手がけました。

 

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