はじめに
こんにちは!INSIGHT LAB株式会社のKin-chanです。IT業界に居なかった人がデータのことについて理解しようとするこのシリーズ。今回が第3回目となります(第1回目の記事はこちら、第2回の記事はこちら)。しつこいようですが中の人の自己紹介です。
- ニックネーム:Kin-chan
- 千葉県船橋市生まれで現住、44歳、2023年6月INSIGHT LAB株式会社へ入社
- 前職は水産物の卸売小売(「浜の仲買(漁師さんが獲ったアサリやホンビノス貝などの2枚貝を仕入をし、豊洲や横浜・盛岡など全国各地の卸売市場)」の商売をしていました)
- つまり前職は弊社のようなIT業界に居なかった人でした
- 将棋が好き(推しは豊川孝弘七段と木村一基九段、解説でのお話しぶりが楽しいので)
今回と次回は2回に分けて「データマネジメントの原則」について紹介していきます。私は何でも「原則」という言葉を見つけるとできる限り知っていきたいなと感じるのでデータマネジメントについても同じく原則を知ることは大切ですよね。それでは今日のお話を始めましょう。
データは価値を持つ
データは特有の性質を持つ資産
「データは資産である」。この項の第1文です。原文が英語なところから第1文からイイタイコトを持ってくる感じがいいですよね。
このシリーズでも以前ご紹介しましたが「資産」というとお金、証券、土地、車などのものをイメージすることが多いですよね。つまり「資産=お金に換算可能なもの」というのが一般的なイメージ。ところが「データも資産として考えましょう」というのがDMBOK2でイイタイコトであることが分かります。
また「データは使用しても失われないことが他の資産と異なる」という記述があります。お金は使えばなくなりますよね。でもデータは使っても失われないと。確かに!と思えます。
データの価値は経済的観点で評価可能であり評価されるべき
一般的な資産は、お金の金額、土地や建物や車などの固定資産の価値など、お金に換算可能であります。データを資産として扱いましょうということは「データもお金で換算できるようにすべきである」ということと考えます。
また「データを定量的・定性的に測定する手法はあるが、測定の基準はまだ存在しない」とのこと。データの価値を測定するための基準はないから各組織で基準を定めることが必要だよ、ということだと考えます。さらにデータの価値測定基準を決める際に以下の2点に対してバランスを取る必要があるとのことです。
- 低品質なデータにかかるコスト
- 高品質なデータから得られる利益
企業経営においては利益を取りに行くためにはコストも必要ですよね。データについていうと、低品質なデータにかかるコストがあるから利益を得られるわけではなさそうです。
データマネジメントの要件はビジネス用件そのもの
データ管理はデータ品質の管理
データマネジメントの目標はデータが目的に沿っていることを保証することである。データが目的に沿っているかを保証するためにデータ品質を管理することが必要で、ステークホルダーの要求事項を理解して、データがその要求に応えているかを測定する必要がある。
測定をするための材料としてデータを定量的・定性的に評価する必要がある、ということにつながりそうですね。
データ管理にはメタデータが必要
皆さんは「メタデータ」という単語をご存知でしたか?私はこの業界に入るまで(もっと言えばDMBOK2に触れるまで)知りませんでしたし、知っていてもわりと漠然としたふわっとした理解でしたが、DMBOK2のこの項を読んだことで理解が深まりました。
メタデータとは「データについてのデータ」であるという説明をよく目にします。はっきり言ってなんのこっちゃ、と私は感じました。が、メタデータの例を挙げてみましょう。パソコンで画像ファイルのアイコンを右クリックして「プロパティ」を見てみるとWindowsでしたら「詳細」タブに表示される情報がありますよね。その画像(写真)が撮影された日時、幅や高さのような画像の大きさ、ファイル名、ファイルの置き場所、ファイルの拡張子、写真であれば露出、f値など、「画像(写真)の情報」のことを(その画像データの)メタデータと呼びます。
画像(写真)ファイルでのメタデータの例を挙げましたが、組織のデータの場合はどうでしょうか。
私も以前は家族経営の小さい会社の経営に携わっていました。小さい会社ながらも会社の中にはデータを扱うシステムを入れていました。販売管理システム、仕入管理システム、仕入データを個別集計するためのExcelシート、給与計算を行うExcelシート、経理にからむ請求書や領収書、手書き伝票、などなど、デジタルデータも手書きや紙ベースのアナログなデータ(資料)がいろいろなところに点在していました。「先月のあの商品の売り上げと仕入れはどうなっていたかな」、「売上と給与の関係を見たいな」となったときには小さい会社ですから何とかすれば参照することはできますが、なかなかな労力でした。
大きな会社の場合でしたらどうでしょう。私がいた会社のような小さいな会社でさえデータを探すのに労力がかかっておりましたが、大きな会社になればなるほどデータが各所に点在し、データを格納しているシステムやデータベースも点在しています。
売上データがどこのシステムにあるのか、売上データはどのデータを用いてどのような計算式を基に計算されているかなどがわかると、データに対しての理解が深まりそうですよね。さらには売上と給与の関係をみて人員配置を考えたい、など複合的にデータを参照したいケースも多々ありますから、「あのデータはどこにあってどうやってそのデータが導かれる(計算される)のか」が分かるようにしたいと考えるわけです。
また、データ自体も多種多様ですからメタデータもさらに多種多様になります。しかもIT側の人とビジネス側の人とで同じ単語を使って話していても、実はそれぞれの立場で言葉の理解や使い方が微妙に違う場合があります。IT側と非IT側とで共通の辞書(用語集)を作って組織として言葉の使い方を共通化させましょうという考え方もあります。
そこで登場するのがメタデータ。メタデータを管理することで組織全体でデータ管理をできるようにしたいよねという趣旨です。
データマネジメントにはあらかじめ計画が必要
組織ではこれからデータマネジメントに取り組もうとする以前からIT側も業務側も複雑なプロセスが絡み合って稼働しています。行き当たりばったり的な取り組み方では一筋縄にはいきません。データは各部門間で生成され、部門間を移動しながら利用されていることが当たり前ではありますが、これがデータマネジメントの実践を難しくしているようです。
データマネジメントでより良い成果を上げるためには業務プロセスをうまくコーディネートしつつ、IT側からも業務側からもどちらの観点からも大局的な計画が必要であると述べています。つまりピンポイントで「ここにテコを入れよう」という取り組み方ではデータマネジメントの大局的な成果は得られないということですね。
データマネジメント上の要件がIT上の決定を左右する
データとデータマネジメントは、ITとITの管理と深く絡んでいる。組織の戦略的なデータ要求はITによって決まるのではなく、ITの力を借りて実現されるのであり、データマネジメントにはそのようなアプローチが必要である
と記載があります。データマネジメントではIT側は技術先行で進めるのではなく、ITはあくまで技術を提供することでデータマネジメントを推進しましょうということですね。
今回のまとめ
さてここまでをまとめると以下のようなことが言えます。
- データはお金のような資産としてとらえることが必要で、お金などの資産のようにデータの価値を客観的に評価する必要があるが、データ価値を評価するための方法は確立されたものがまだないので組織それぞれで考慮する必要がある
- データマネジメントではIT側と非IT側(ビジネス側、経営戦略を決定する側)との協調が必要で、どちらか一方が先行したり、非IT側がIT側に「これやっといてね」の姿勢ではデータマネジメントにおいていい成果は得られない
今回はデータマネジメントの原則の前半の紹介を行いました。次回も引き続き「データマネジメントの原則」を追いかけていこうと思います。
次回のIT業界に居なかった中の人がデータのことについて理解しようとするこのシリーズもお楽しみに!
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