収集したデータをビジュアライズして、企業活動へ活用できるようにする上で、BIツール(データ可視化ツール)を利用するのは有効な手段の一つです。
しかし、BIツールを活用するためには企業内でツールを活用できる人員の用意が必要となるなど、その導入は一朝一夕にはいきません。
この記事では、そのようなBIツール導入をスモールスタートするために役立つ「無料BIツール」を紹介します。
無料BIツールの種類や注意点、具体的なツール名を紹介しますので、BIツール導入を検討している企業の方は必見です。
有料ツールも合わせて検討したいという方は、合わせて以下も参照下さい。
BIツール(無料)の種類
最初に、無料のBIツールの種類について3つに分けて紹介します。
無料のBIツールと言っても、無料でどこまでできるのか、期間制限はあるのかなど、その種類は多種多様です。
導入を検討する際は、無料である理由や制限などを確認することが望ましいでしょう。
機能制限なく無料で使えるBIツール
一つ目として紹介するのは「機能制限なく無料で使える」BIツールです。ユーザーとしては一番嬉しい種類ですが、一番少ない種類でもあります。
オープンソースで提供されているBIツールも、ある意味では機能制限なく無料で使えるBIツールと言えるでしょう。
機能制限付きだが無料で使えるBIツール
二つ目は「一部機能に制限があるものの無料で使える」BIツールで、この種類はGoogleが提供している「Google Data Portal」などが該当します。
機能制限がついている場合は、自社がBIツールを導入する目的が無料の機能内で対応可能なのか、いずれバージョンアップする際の移行がスムーズなのか等を確認すると良いでしょう。
期間限定なら無料で使えるBIツール
三つ目に挙げるのは「期間限定ではあるが無料で使うことができる」BIツールとなります。いわゆるお試し利用という形で、有料BIツールを短期間利用できるものです。
ツールの良し悪しをしっかりと確認するために、無料期間内でチェックポイントの洗い出しをしておくことがベターです。
無料版の注意点
続いて、無料のBIツールの注意点について紹介します。基本的に、基本的に、これらには何らかの制限がつきものです。
制限が自社のデータドリブン活動にどの程度影響を及ぼすのかは、注視する必要があります。また、無料というマインドが自社内に及ぼす影響も忘れてはいけません。
機能制限がある
無料のBIツールは、基本的には機能制限があると考えましょう。代表的なものとしては、データの加工ができなかったり、利用可能なデータソースがローカルファイルのみだったりします。
データの加工ができない場合でも対応策はありますが、基本的にはデータソースの側を操作する知識が必要になると言ってよいでしょう。
そのため、無料版のBIツールを選ぶ際は、自社がBIツールを使う目的を達成するうえで必要な機能が備わっているのか、データソースを加工する知識をもった社員がいるのかを確認する必要があります。
無料だからと使わずに放置する可能性がある
また、メンタル面の注意点ですが、無料版のBIツールを導入すると、企業としての導入に本腰が入らないケースがあります。
無料版だからこそスモールスタートができると捉え、導入スケジュールをしっかりたてることが重要です。
また、新しくBIツールを導入する際は、導入スタッフの評価項目にそれに関する項目を追加することも効果的です。
無料BIツール5選
最後に、無料のBIツールを5種類紹介します。
導入を検討している場合は、この5種類の中から自社にあったものを選ぶと良いでしょう。
Google Data Portal
最初に紹介するのは、Googleが提供する「Google Data Portal」です。
Googleアカウントさえあれば、誰もが無料で使うことができます。
GoogleアナリティクスやGoogleサーチコンソール、Google広告など、Googleが提供しているデータ収集サービスと連携がしやすいことが特徴です。
また、Googleスプレッドシートをデータソースとすることで、Googleスプレッドシート上では見づらいデータをビジュアライズすることもできます。
無料版では一部機能制限がありますが、BIツール導入の初期段階においては多くの場合、この作業を行う上で無料版でも差し支えはないでしょう。
以下の記事で、「Google Data Portal」の利用方法を紹介しています。
👉👉BIツールGoogle data portalで売上レポートを無料で定期配信して営業効率を上げる方法
Redash
「Redash」はオープンソースのBIツールです。
幅広いデータベースに対応しており、ダッシュボードも比較的作成しやすいのが特徴です。
既存システムとの連携が容易なので世界中で利用されていますが、言語が英語なので、日本で導入する際は言葉の壁があると言えるでしょう。
英語に抵抗がなければ、使い勝手のいいBIツールと言えます。
Metabase
「Metabase」は、Metabaseプロジェクトによって提供されているオープンソースのBIツールです。
「Metabase」はJavaで開発されており、Metabaseのjarファイルを設置することで実行します。
jarファイルをダウンロードして設置すればいいので、インストールも簡単です。
インターフェースはSQL等の知識がないユーザーでも扱えるようになっているため、エンジニア以外の社員の多い一般企業でも導入可能です。
以下記事で、Metabaseの使い方を紹介しています。
👉👉OSSのBI「Metabase」からSnowflakeに繋いでみた
D3.js
「D3.js」はこれまで紹介してきたBIツールとは少し毛色が異なる、
Web上で動的コンテンツを描画するJavaScriptライブラリです。
「D3.js」はSVG(Scalable Vector Graphics)やHTML、CSSを利用することで、
データをグラフやチャートなどにビジュアライズします。
「D3.js」は自由度が高い分、
「Google Data Portal」などと比較すると学習コストが高くなりがちです。
JavaScriptなどに自信がない場合使いこなすことは難しいかもしれませんが、他の無料BIツールの導入を進めその機能に満足できなくなった場合、利用を検討してみる価値は充分あるでしょう。
Pentaho(ペンタホ)
「ペンタホ」も米国発のオープンソースBIツールです。2015年に日立製作所傘下の日立データシステムズが買収したことでも話題になりました。
ペンタホはオープンソースのBIツールですが、プロフェッショナル向けに作られたBIツールなので、使いこなす難易度も高いと言えます。
無料版を利用する際も、基本的にはプログラミングの知識が求められるため、一定以上のITリテラシーがある企業は導入を検討してもよいでしょう。
「ペンタホ」の性能は高く、日本取引所グループのデータ利活用基盤にもなっています。
データを抽出準備する「データ統合基盤」と、統合したデータを分析・可視化する「データ分析基盤」の2つにより、データ収集から分析までを一貫して行えることが特徴です。
まとめ
収集したデータをBIツールを利用してビジュアライズし分析することは、データドリブンが一般的となった現代ビジネスでは必須と言えます。
BIツールを企業内で活用するためには、データを活用していく企業文化の醸成から、BIツールの習熟まで、超えなければならないステップがいくつかあります。
そのため、初めでBIツールを導入する際は、自社の目的にあったものを選ぶことはもちろん、担当社員の学習コストも鑑み、ITリテラシーにあった無料BIツールを選定し、スモールスタートすることが望ましいでしょう。
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