はじめに
この記事では、Qlik Senseの円グラフの基本から応用を解説します。
具体的な手順や注意点もご紹介します。
この記事でわかること
- 円グラフの基本
どのようなデータを可視化する際に円グラフが最適なのかを理解できます。
- 円グラフの応用
ドーナツチャート、ローズチャートについて、特性、具体的な作成手順、活用方法、そして使用上の注意点を理解できます。
- 高度なデータ表示のテクニック
ローズチャートのように複数メジャーを円グラフに重ねて表示する際のポイントや、「上位〇〇件のみ」を表示してデータを絞り込む方法を理解できます。
目次
円グラフ
円グラフとは?
円グラフは、全体の構成比や割合を視覚的に表現するのに最適なグラフです。
円全体を100%として、各カテゴリがその中でどれくらいの割合を占めているかを、スライス(扇形)の大きさで示します。
構成要素
ディメンション
円グラフを分割するカテゴリ(例:製品カテゴリ、地域、顧客タイプなど)
各スライスはこのディメンションによって決まります。
円グラフには、ディメンションを1つ設定可能です。
メジャー(一次メジャー)
各スライスの「量」を示す数値(例:売上金額、数量など)
この値の相対的な大きさに応じて、スライスの角度(扇形の大きさ)が変化します。
円グラフには、メジャーは1つまたは2つ設定可能です。
Qlik senseでは標準機能で円グラフの作成が可能です。
円グラフの具体的な作成方法は以下のページをご確認ください。
https://knowledge.insight-lab.co.jp/qliksense/未分類/円グラフの作成
ドーナツチャート
ドーナツチャートとは?
ドーナツチャートは、円グラフの中央をくり抜いた形状のグラフです。
円グラフと同じように全体の構成比を示します。
中央のスペースが空いていることが特徴です。
ドーナツチャートには、以下の利点があります。
・デザイン性: グラフィカルな表現の幅が広がります。
・視覚的効果: 中心にKPIなどのサマリー値を表示できる(応用)ため、より多くの情報を一度に伝えることができます。
作成方法
Qlik senseでは標準機能でドーナツチャートの作成が可能です。
まずはアセット→チャートから円チャートを選択します
ディメンションとメジャーを設定します。
ここまでは円グラフの作成方法と一緒です。
プロパティ→スタイル→プレゼンテーション
円をドーナツに変更します。
ドーナツチャートができました。
KPIの表示方法
ドーナツチャートにKPIや数値を表示したい場合は、サードパーティ製のエクステンションであるVizlibを使用します。
Vizlibについては以下のページをご参照ください。
https://solution.insight-lab.co.jp/vizlib
アセットからカスタムオブジェクトを選択し、Vizlib Pie chartを選択します。
データを選択します。
プロパティ→スタイル→Chart styleからdonutを選択します。
スタイルの中のTotalsを開き、Hide→Show
Totals positionをcenterにすると画像のようにKPIが表示されます。
ローズチャート
ローズチャートとは?
ローズチャート(別名:Coxcomb chart/コックスコームチャート)は、円グラフを応用したグラフです。
日本語では「鶏頭図(けいとうず)」とも呼ばれます。
円グラフのセクターの角度だけでなく、中心からの半径にも別のメジャーの値を反映できるグラフです。
特徴
- 中心から放射状に伸びる扇形(セクター)で構成される
- 今までと同じように、一次メジャーで各スライスの角度が決まる
- セカンダリメジャー(二次メジャー)で各スライスの中心からの半径(扇形の伸びる長さ)が決まる
- セカンダリメジャーを適用することで、ドーナツチャートのように中心から放射状に伸びる棒グラフのような形状になる
基本的な円グラフは構成比(角度)しか示しませんが、ローズチャートはそれに加えてもう一つの数値(メジャー)を半径(中心からの伸び)として表現できるのが利点です。
ローズチャートの利用場面
周期性のあるデータの表示
ローズチャートの円周上に時間を配置することで、データが持つ周期的なパターンや季節性を直感的に捉えやすくなります。
例えば、月ごとの売上/生産量のトレンドについて
夏に売上が伸びる商品や、年末に生産量が急増する工場ラインのパフォーマンスなど、特定の製品やサービスが年間でいつピークを迎え、いつ落ち込むのかを視覚的に把握したい場合に使用することができます。
相対的な比較
カテゴリ間の相対的な比較を伝えたい時に使用できます。
例えば、地域ごとの製品販売貢献度について
各地域が全体の売上にどの程度貢献しているかを円形で示しつつ、その中でさらに利益率を表現したい場合に使用することができます。
作成方法
Qlik senseでは標準機能でローズチャートの作成が可能です。
円グラフを作成し、軸とメジャーを設定します。
プロパティ→データ→メジャーの半径に2つ目のメジャーを設定します。
ローズチャートが作成できました。
これもドーナツにできます。
スタイル→プレゼンテーション→円をドーナツにします。
この場合、ローズチャートではなくPolar bar chart/ポーラーバーチャートと呼ばれます。
複数メジャーを円グラフに重ねる際の注意点
ローズチャートやポーラーバーチャートのように、円グラフに複数のメジャーを重ねる際には注意点があります。
例をお見せしながら説明していきます。
このチャートは、
軸 City
一次メジャー Sum(Sales)
二次メジャー Avg(Discount)
となっています。
つまり、Sum(Sales)で各スライスの角度が決まっていて、Avg(Discount)が半径の長さを決めています。
左側、BerlinとSão Pauloに注目します。
・BerlinのほうがSão Pauloよりも、Sum(Sales)が大きい
・BerlinはSão Pauloよりも、Avg(Discount)が小さい
ことがわかります。
それぞれの面積に注目すると、
Sum(Sales)の高いBerlinよりもSum(Sales)の低いSão Pauloのほうが、面積が大きくなっています。
これにより、São PauloのほうがSum(Sales)が大きいように誤解してしまう可能性があります。
このように、複数メジャーを重ねたグラフを読み解く際には注意が必要です。
上位○○件表示の方法
Qlik Senseでは、多くの項目が表示されて混乱を招くことを防ぐために、デフォルトでは上位10件の値が表示されるようになっています。
「その他」というラベルの付いたセクターには、10位以下の項目が1つにまとめられています。
ここでは、「上位10件」の件数の変更の仕方を紹介します。
例えば、上位15件を表示したい場合
プロパティのデータ→軸を開きます
制限の部分を確認します。
デフォルトでは、このようになっています。
一番下の10の部分を15に変更します。
表示される項目数が変更されました。
記事のまとめ
Qlik Senseでデータを視覚的に表現する際の基本となる円グラフから、ドーナツチャート、ローズチャートといった応用的なグラフまでを詳しく解説しました。