こんにちは。Deckです。
Qlik Cloudで、シート上から直接データ操作やユーザー間でのリアルタイム情報共有が可能となる「ライトテーブル」機能がリリースされました。
ライトテーブルはまだ公開されたばかりの機能で、記事作成時点(2025/12/10)ではまだリリースノートも出ていない状態です。この記事ではそんなライトテーブル機能を最速でレビューしていきます。
ライトテーブルとは何か?
ライトテーブルは公開されたばかりの機能なので、まだ何ができるかご存知ない方も多いと思います。
ライトテーブルはこのような特徴があります。
- Qlik Senseアプリ内に構築可能なテーブルオブジェクトで、シート上でユーザーが直接セルの値を編集できる
- 編集したセルの値を保存すると即座に他のユーザーと共有され、テーブルの共同編集が可能。編集内容を反映するのにリロードの必要はない
- APIやQlik Automateなどの機能を利用することでデータをQVDやデータベースに永続化することや外部サービスとの連携ができる
今までのQlik Senseは外部のデータをリロードすることでアプリ画面への反映がされる使い方がメインでしたが、ライトテーブルを使うことでシートからテーブルの値を編集して即座に他のユーザーと共有することができます。
早速使ってみる
では、ライトテーブルを早速使ってみましょう!
ライトテーブル機能を使用するには編集元となるテーブルが必要です。
新規Qlik Senseアプリを作成し、データロードエディタで100件のレコードを持つテーブルを作成します。

作成したテーブル「通し番号」項目がキーとなります。
キーとなる項目は単一でも複数組み合わせでもよいですが、組み合わせた結果として列の値が全てユニークな値となっている必要があります。
データをリロードしたらシートの編集画面に移り、チャート一覧から「ライトテーブル」をシートに追加します。

列として、先ほど作成した「通し番号」項目を追加します。

画面右側のデータパネルから「編集可能な列」を追加します。

チャート側に列のプライマリキーを設定する必要がある旨が表示されました。「定義」をクリックします。

「通し番号」項目にチェックを入れます。実際のアプリでは複合項目を組み合わせることもできます。
設定する項目は値がユニークになっている必要があります。
(たとえば、人物名を項目とするときに「田中太郎」という値が2個以上存在することはできません。他に住所や生年月日を組み合わせてユニークにすれば解決します)

作成した列には名前をつけることができます。ここでは「タイトル」としましょう。

列の設定によっては入力候補から選ばせる形式にすることもできます。
あらかじめ候補が決まっている項目は「単独選択」として候補を入れておくとプルダウン選択にすることができます。

その他、追加で「発売日」「地方」の項目を追加して4つの入力可能な列を持つチャートを作成しました。
なお、現段階では入力のバリデーション機能はないので、「発売日」の値を日付のみに限定させるといったことはできません。

いくつかの列を入力してみました。
入力済みのラベルに色がつき、それぞれ以下の意味になります。
- 緑……保存済みで、他のユーザーから参照可能
- オレンジ……未保存で、自分だけが見られる
- 青……他のユーザーが編集中(ロック)で、自分は変更できない
ロックは他のユーザーが編集完了するかセッションタイムアウトすると解除されます

ここまでの手順で入力したデータはQlik Senseアプリのテーブルとは違い、「ストア」という場所に保存されています。
ストアIDはチャートのプロパティから確認することができます。

未保存のデータはセッションが切れると失われ、保存済みのストアは90日の期限があるようです。
(この記事はファーストインプレッションのため、期限切れすると何が起こるかは未検証です)

まとめ&制限事項
この記事ではライトテーブル機能でシートから入力値の直接編集を試してみました。
今までもサードパーティ製のリアルタイム編集機能はありましたが、Qlikの標準機能として追加料金なしで利用できるようになったのはありがたいですね。
今後、ロードスクリプトによるデータのQVDへの保存やQlik Automateで他のサービスとの連携も試してゆきたいです。
また、ライトテーブル機能には現在のところ以下の制限事項があるようです。
- 入力して保存した値はアプリとスペースに紐づいています。
値を保存した後にアプリを別のスペースに移動すると今まで保存した値は見えなくなってしまいます。
(元のスペースにアプリを移動し直すと再度見えるようになります) - ライトテーブルのデータが保存されるのは一定期間のみです。
保存したデータを永続化するためにはQlik Automateなどを利用してQVDや他のデータベースに連携する必要があります。 - ライトテーブルに入力したデータを直接他のチャート(棒グラフ・円グラフ・etc...)から参照することはできません。
一旦データを永続化した後にリロードして、データモデルビューアから参照できるテーブルの形にする必要があります。 - 入力値のバリデーション機能は実装されていないので、入力を数値のみに制限するなどはできません。
- Qlik Cloud限定の機能であり、クライアントマネージ版のQlik Senseへの実装予定はありません。
この記事ではファーストインプレッションとしてさわりの部分だけを紹介しましたが、今後色々な使い方が見えてくると思います。これからの発展に期待ですね。
それではまたお会いしましょう。













