目次
はじめに
Tableauでダッシュボードを作っていると、「特定の商品だけに注目したい」「でもフィルターを掛けると他のデータが消えてしまい、全体の中での位置づけが分かりづらくなる」と感じる場面がありませんか?
そんなときに便利なのが、パラメータアクションを使った動的ハイライト表示です。
データを絞り込むのではなく、クリックした要素だけを強調表示することで、他の値を残したまま比較しやすい状態を作ることができます。
今回は Tableau のサンプルデータセット [サンプル - スーパーストア] を使い、実際に動くところまでをハンズオン形式で解説します。
ハンズオン:動的ハイライトを作る
STEP① ワークシート作成
新規ワークシートを作成し、次の構成で横棒グラフを作ります。
| 列: | 売上 |
| 行: | 製品名 |

STEP② ダッシュボード作成
下部の [新しいダッシュボードを作成] をクリックし、先ほどのワークシートをキャンバスへドラッグ&ドロップします。これで後述のアクション設定が可能な状態になります。

STEP③ パラメータ作成
ワークシートに戻り、以下の内容でパラメータを新規作成します。
| 名前: | 選択商品 |
| データ型: | 文字列 |
| その他の項目: | 初期値 |
パラメータは「選択された要素を保存する箱」の役割を果たします。


STEP④ パラメータアクション作成
ダッシュボード画面で
[ダッシュボード] → [アクション] → [追加] → [パラメータ変更]
を開き、次のように設定します。
| アクションの実行対象: | 選択 |
| ターゲットパラメータ: | 選択商品 |
| ソースフィールド: | 製品名 |
| そのほかの項目: | 初期値 |
これにより、グラフのクリックで選んだ製品名がパラメータに代入されるようになります。


STEP⑤ 判定用の計算フィールド作成
次に、計算フィールドを作成します。計算フィールド名にはお好きな名前を付けてください。 ここでは「判定フィールド」とします。
IF [製品名] = [選択商品] THEN "選択" ELSE "その他" END
この計算フィールドは「選択値かどうか」判定して色を制御する役割を果たします。


STEP⑥ 色付けによるハイライト設定
作成した計算フィールドをマークカードの [色] にドラッグ&ドロップします。

クリックした製品だけ色が変わるようになります。

また、画面右に表示されている、[計算フィールド名]横の▼ → [色の編集]から好みの色に変更可能です。


これで、バーをクリックすると選択した製品のみが強調表示され、他の製品の分布を残したまま比較できる状態になります。
これが今回作成した「動的ハイライト」です。

仕組みの整理
今回行った構成は、3つの要素の組み合わせで成り立っています。
| 要素 | 役割 |
| パラメータ: | 選択された値の保存場所 |
| パラメータアクション: | クリック値をパラメータに代入 |
| 判定用計算フィールド: | 表示の切り替え制御 |
これらを組み合わせることで、選択に応じた表示切替が可能になります。
フィルターとの使い分け
フィルターは「条件に合うデータだけを表示したい」ときに最適です。
一方、動的ハイライトは「全体を見たまま注目点を目立たせたい」ときに使うと効果的です。
-
絞り込みたい ⇒ フィルター
-
比較を残したまま注目させたい ⇒ 動的ハイライト
という使い分けが可能です。
応用アイデア
同じ仕組みは次のようなケースにも応用できます。
-
月をクリックして年間推移をハイライト
-
担当者を選んで KPI を強調表示
-
地図クリックによる地域強調
まとめ
今回紹介した動的ハイライトは、
「データを絞り込まず、全体を見たまま注目点を強調したい」という場面で特に効果を発揮します。
パラメータとアクションを組み合わせるだけで
-
クリックした要素のみを自然に際立たせられる
-
他のデータも残るため比較の流れが途切れない
-
ダッシュボードに操作性とストーリー性を加えられる
といったメリットがあります。
特にKPIレビューやランキング分析、地域比較など「全ての状況も把握したいが、今はここに注目してほしい」というダッシュボードでは、動的ハイライトを積極的に取り入れるのがおすすめです。
Tableauでの可視化表現にぜひ取り入れてみてください。

