IoTとは
IoTとは「Internet of Things」の略です。「モノのインターネット」という直訳のとおり、モノをインターネット接続する技術のことです。
IoTは主に遠くにあるモノとのデータのやりとりを担います。家電や時計、自動車などの物理的なモノにインターネット接続機能を搭載することにより、モノからデータを受け取り、離れた場所にあるモノを操作することが可能になりました。
たとえばIoT機能が搭載されたペット用フードサーバーは、離れた場所からスマホ等でペットの様子を確認し、また適切な量の食事を自動的に与えることができます。
このようにIoTの技術を活用することによって、モノ自体により高い価値をつけ、より高いレベルのサービスを生み出すことができます。
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日本・世界のIoTの市場規模
次に国内と世界におけるIoTの市場をご紹介します。
国内企業でのIoT導入率は23.5%
株式会社MM総研が2019年11月に実施した「IoT技術の国内利用動向調査」によると、国内のIoT市場規模は2019年時点で約6,100億円(対前年比で約45%増)となり、急速な成長を遂げていることがわかります。
2023年にはこれが約3倍の約1兆9千億円まで拡大することが予想されています。2019年から2023年までの年平均成長率は32.8%となる見通しです。
また、国内企業の中でIoT技術を「社内に導入している」と答えたのは全体の23.5%と高い水準となっています。「導入を検討している」と回答した企業は13.4%を占め、そのうち3割の企業が2020年中にIoT技術を導入予定と回答しました。この調査のとおり、国内におけるIoTの市場はますます拡大することが予想できます。
海外の市場は年率10.8%で成長
加えて、2021年7月にREPORTOCEANから発行された調査レポートによると、世界の産業用IoTの市場規模は2020年からの10年間に年率10.8%で成長し続け、2030年には2,057億ドルに到達すると見込まれています。
クラウドシステム、AIなどの先端技術の導入促進、および産業分野におけるデジタル化促進に向けた政府の支援などにより、市場は大きく拡大するでしょう。国内だけではなく海外でもIoT技術の活用が注目され、今後のIoT導入範囲の拡大が期待されています。
国内のIoT活用事例
続いては、国内におけるIoTの活用事例をご紹介します。
遠隔地からデータに基づいた診断が可能に
医療分野でIoTは大きな役割を果たすものとして期待が寄せられています。
IoTデバイスから生体データを医師に送信することで、遠隔地から患者の状態を確認し診断をすることができるようになりました。高齢や病気で家から出ることができないなどの理由で対面での診断ができない患者に対し、IoTによる遠隔医療が重要な役割を担っています。
また、医師が遠方にわざわざ足を運ぶ必要がないため、在宅医療だけではなく、医師不足で医療が十分に提供できない地域の課題の解決にも貢献しています。
倉庫・配送業務の効率化
IoTなどの最新技術を用いた物流分野のデジタル化推進を「ロジスティクス4.0」と呼びます。商品の入荷から出荷までの倉庫作業と、出庫以降の配送作業という2つのプロセスでIoTの活用範囲が分けられます。
棚入れ・棚卸し、ピッキング作業等の倉庫作業におけるIoTの活用例として挙げられるのが、Amazonの倉庫ロボットです。Amazonの配送センター内では、仕分けなどの細かい作業を人が担い、搬送や棚への積み込みはロボットが行うという分業を行っています。同社では3万台のロボットを使って24億円のコスト削減に成功しました。
一方の配送業務では、TMS(Transportaion Management System)という輸配送管理システムを使って、出荷から配送先に届くまでの輸配送を総合的に管理することが可能になりました。出荷後のリアルタイムな追跡はもちろん、配送先からの指示や、配送ボリュームの管理、配送車両の振り分けなどの複雑なデータを管理できるのがTMSの特徴です。
人・モノ・設備の連携で高効率の生産プロセスを実現
経済産業省による「スマートファクトリーロードマップ」での報告によると、株式会社日立製作所ではIoTを活用した4つの生産システム「作業改善支援システム」「工場シミュレーター」「RFID生産監視システム」「モジュラー設計システム」を互いに連携させることで、人・モノ・設備の情報を循環させ高い効率を実現する生産モデルの確立に成功しています。
さらに、生産計画の進捗状況を把握することによる適切な対策・改善、ならびにより精度の高い生産計画を立案するサイクルを実現しました。これによって自社製品の生産から納品までの時間を50%も短縮しました。設計工程で20%、調達で20%、製造で10%、コストを削減することに成功しています。
物流業界全体に目を向けてみると、ドイツ政府が推進する「インダストリー4.0」という国家プロジェクトの構想に注目が集まったことから、日本のインダストリー業界においてもIoTの活用が拡大し続けています。
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IoTの今後
IT専門調査会社のIDC Japan 株式会社が2021年4月に出した調査結果によると、国内IoT市場におけるユーザー支出額は、2020年の実績(見込値)6兆3,125億円から2025年には10兆1,902億円に達すると予測しています。2020年~2025年の5年間の年間平均成長率は10.1%と高い伸び率で、今後ますますIoTの活躍が期待されていることがわかります。
このような国内IoT市場の成長には2つの要因が挙げられます。1つ目は分析ツールやAI基盤の高度化など、社会全体でのデジタル化により市場の成長が後押しされるということです。2つ目の要因は、データに対する企業の認識の変化です。IoTデータだけではなくその他のさまざまなデータと組み合わせて活用することに市場の意識が向きつつあります。
また、総務省の「令和2年版情報通信白書」によると、IoTデバイスは医療、産業用途、コンシューマ、自動車・宇宙航空分野で高成長が見込まれています。
この中ではスマートフォンや通信機器の「通信」分野ではすでに市場が飽和状態となっており、他のカテゴリが今後の成長の主軸になると予想されています。市場規模の拡大を踏まえると、これまでないIoT×モノの組み合わせで新しいサービスが生まれ、IoTの活躍の幅はますます広がっていくでしょう。
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まとめ
ここまでIoTの今後の市場規模や活用事例をご紹介してきました。今後身の回りにIoT搭載のモノが増えていくことはほぼ間違いなく、わたしたちの生活はIoTによってますます便利になっていくでしょう。
また、今回ご紹介した活用事例以外にもIoTを活用するサービスがますます増え、今後もこうした変化に伴ってIoTの市場規模や活用事例は随時広がっていくと予想されます。
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