同業他社との競争が激しい今日において、データ分析の重要性は非常に高いと言われています。現在、データ分析をサポートするBIツールは、ビジネスにおいて一種のトレンドとなっています。多くの企業が自社の利益アップや、業務の効率化を期待して、BIツールの導入を検討しています。
本記事では、BIツールの市場規模について解説した上で、今後のBIツール市場がどのようになるかを予想していきます。BIツールの導入を検討されている方、BIツール市場の動向を知りたい方は、本記事を参考にしてみてください。
目次
BIツールとは
BIツールとは「ビジネスインテリジェンス(Business Intelligence)」の略語で、ビジネスに関するデータ分析を効率よく行うソフトウェアのことです。BIツールで分析対象になるデータには、次のようなものがあります。
- 顧客情報
- 会計情報
- 商品、及びサービスについての情報 など
上記のデータは保存場所が異なったり、情報量が膨大であったりするため、人間の手で分析を行うには時間も労力も必要です。データの量や内容によっては、人間の力だけでは分析できないものも少なくありません。
BIツールを活用することにより複数のデータを一元管理できるため、分析を容易に行うことができます。BIツールは業界を問わず、マーケティング部門、経理部門、企画部門などといった多様な部門で利用されています。
BIツール市場の背景
BIツールがビジネスの場で大注目されている理由には、働き方改革による社員の負担軽減、データ活用などを重視する企業が増えたことなどが関係しています。
2020年の春先から流行した新型コロナ禍でも、日本のBIツール市場は順調に拡大してます。現在、DX(デジタルトランスフォーメーション)は企業発展のトレンドとなっていますが、BIツールの人気はDXの流行とも連動していると見なせるでしょう。
BIツールの市場規模
国内外の多くの企業がBIツールに注目している今、BIツールの開発、販売に力を入れる企業も増えています。
ここからは、現在のBIツールに関する情報を確認していきましょう。
BIツールの現在のシェア
IT分野専門の調査会社IDCジャパンの調査によると、BIツールを含むBA市場は、2019年において前年比10.0%増と推定されました。
BIツールの導入は大企業を中心に進んでいます。大企業は数多くの部署を抱え、かつ社内には多くのデータが散乱していることも少なくありません。そのため、必要なデータを一箇所で取りまとめ、分析を容易に行うことを可能にするBIツールは重宝されているのです。
中小企業もBIツールに無関心なわけではありません。中小企業も同様に、BIツールの帳票機能、データ入力機能、モバイル端末対応機能に着目している傾向にあります。
参考:国内BDAテクノロジー/サービス市場予測を発表
オンプレミス型が主流
BIツールは、オンプレミス型とクラウド型に分類できます。オンプレミス型はITシステムを構築するにあたって、ネットワークやサーバー機器を自社設備内で運用・管理しなければいけません。対して、クラウド型はサーバーをクラウド上で管理できる運用形態です。
現在主流のBIツールは、オンプレミス型と言われています。オンプレミス型は自社でサーバーを運用していることから、セキュリティ面での安全性の高さが大きなメリットとなっています。
今後のBIツールの市場
多くの企業から注目を集めているBIツール。同ツールの導入を検討している方の中には、「今から導入しても、廃れてしまうのではないか」「BIツールは一時的な流行なのでは」といった疑問を抱えている方もいるでしょう。
IDCジャパンによると、BIツールの2019年から2024年までの年間平均成長率は11.7%と予想されています。現在トレンドとなっているBIツールですが、今後もニーズが高まると考えて良いでしょう。
BIツールの需要拡大は、ビジネスでデータ管理が不可欠となる世の中にシフトしていることと関係しています。利益を出すには、マーケティング、顧客エクスペリエンス、リスク予測といったデータがますます重要になると言われています。そのため、これまで以上に様々なBIツールが開発、販売されていくでしょう。
また、将来的にはクラウド型BIツールのシェア率が、オンプレミス型BIツールのシェア率を上まわると予想されることも。近年、クラウド型BIツールでも、セキュリティ性が高く、使いやすい商品が増えています。クラウド型BIツールの進歩によって、クラウド型が徐々に普及していくと考えられています。
BIツールの注意点
BIツールが注目されるようになってから、年月はそう経っていません。そのため、BIツール利用者による生の声が集まってきたのは比較的最近のことです。
BIツールの導入を検討されている方は、BIツールの注意点を社内で話し合った上で導入に進んでください。
BIツールを利用するには準備が必要
BIツールは比較的簡単に操作ができ、社員全員が利用できるツールですが、一部の機能を使いこなすには専門的な知識が必要になることもあります。
そのため、BIツールを頻繁に利用している部署であっても、同ツールを使える社員が異動などによって不在になった場合、化石化してしまうケースも少なくありません。
BIツールを利用するハードルが高いと言われる主な理由は、以下の通りです。
- BIツール導入の目的を明確化していない
- 分析対象とするデータが分からない
- BIツールの使い方を共有する場がない
導入したBIツールを活用するためには、利用目的を事前に明確にし、目的にあった商品を選択することが大前提です。導入後、社内での情報共有、部署をまたいだ研修、共通のマニュアルの作成などを行う必要があります。
操作が簡単にできるBIツールも増えているので、使いやすい商品を選択しても良いでしょう。
コストがかかる
BIツールの導入には、提供形態や機能数によって違いはありますが、ある程度のコストがかかります。
導入時には、必要なコストを社内で共有しておくようにしましょう。BIツールを上手く活用することで、導入コストを上まわる利益、自社の飛躍的成長を期待できます。
まとめ
本記事では、BIツールの市場規模について見てきました。新型コロナウィルスの影響を受けて、多くの業界がビジネス規模を縮小している今日においても、BIツール市場は急速に拡大しています。そして、BIツールのニーズは、将来的にますます高まると考えられています。
膨大な数の商品やサービスが市場にあふれる現代社会において、企業が確かな利益を得るためには、データの正確な活用が前提となりつつあります。データ時代において同業他社と差をつけるためにも、BIツールの導入をおすすめします。