ここ数年で様々なデータを簡単に集めることができるようになり、膨大なデータをもとにマーケティングにおける戦略立案が可能になりました。一方で、日々企業が得ている多様多種なデータが何を示しているのかを理解することが、非常に重要になってきています。
しかし「データはたくさんあるけどどのように活用したらよいのか」「どういうツールが自社には必要なのか」「そもそもマーケティングにおいてデータの可視化はどれほど重要なのか」という疑問を抱く方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、データの扱い方に関して悩みを抱えている方のために、マーケティングにおけるデータの可視化についてわかりやすくお伝えしていきます。
目次
データ可視化とは
データの可視化(データビジュアライゼーション)とは簡単に言うと、データをグラフや表で目に見えるようにすることです。会社に溜まった膨大なデータを一箇所に集め、グラフや表にすることによって、直感的にデータの規則性や偏りを把握することができます。
たとえば売上データやWeb広告効果等の傾向を見たい時、大量のデータを並べて眺めているだけでは、どのようなデータであっても、そのデータの表す傾向を理解するのに多くの日数を費やしてしまうでしょう。
そのような場合にデータを整理し、グラフや表に落とし込むことによって、どのような戦略が有意義だったのか、どのような年代・性別に効果があるのかなどを効率的、また簡単に確認することができます。
マーケティングにおいてデータ可視化が必要な理由
現代のマーケティングにおいて、データ可視化は必要不可欠なものとなっています。ここでは、データ可視化のメリットを3つ紹介します。
スピーディーな意思決定が可能になる
ビジネスにおいて、特に様々な情報が行き交うデジタル社会の中で、スピーディーな意思決定は非常に重要な要素となりました。
そのような中で現状を把握するのに時間がかかり、次にどのような戦略を打つのか判断に時間をかけていたら、ビジネスの絶好のタイミングを失うことも少なくないでしょう。
しかしデータを可視化するフローが確立されていれば、それをもとに瞬時に傾向を把握し、意思決定をすることができます。特に様々な指標、仮説をもとに分析をする場合は、いかに素早くデータを理解することができるかが成功のカギとなります。
潜在的な市場ニーズを発見することができる
近年インターネットから好きな時に簡単に商品を購入したり、情報を入手したりできるようになったことから、幅広い顧客データを獲得できるようになりました。顧客が製品を購入するまでにたどった検索履歴や、どのようなものに興味があるユーザーなのかを、簡単にデータとして収集することも可能です。
企業がこれまで収集してきた自社商品の売上データ、顧客データなどを繋ぎ合わせることによって、商品がどのような顧客に求められているのかを予測することができます。新製品を売り出すときにどのようなターゲットに向けて、どの季節にどの地域でプロモーションをかけていけばいいのか、戦略を打ち出しやすくなります。
だれにでもわかる判断ができる
データを可視化すると、これまで個人のなんとなくの感覚で判断していたことを、誰でも正確な意思決定をすることができるようになります。
たとえば、自社の主力商品を購入している人の年齢・性別・職業・地域などのデータを可視化することによって、その商品の広告のデザインや、どのような場所に掲載すべきなのかを社内全体で認識を合わせることができるようになります。
このようにデータを可視化することにより、共通認識で戦略をうつことができるようになるため、組織全体として目標に向けた協力体制をとりやすくなるでしょう。
データ可視化の種類
データ可視化は目的やデータの性質によって適切な要素があります。
よく使われるグラフィックは以下のものがあります。
詳しくは、以下の記事で解説していますので合わせてご覧ください。
散布図
散布図は、データの分布を図として表現します。縦軸・横軸に相関関係があるかを確認することが可能です。
円グラフ
データの割合を表すことに適したグラフです。円グラフを用いると全体との割合を一目で把握することができます。
ジオマッピング
ジオマッピングは、地域ごとのデータのばらつきを比較するために使われます。円の大きさや色でボリュームの大きさを示すことができます。
時系列
時間の経過とともにデータがどのように変化するのかを確認できます。気象観測や交通の状態などに用いられます。
ランキング
同じ属性のデータに順位をつけて紹介する場合に利用されます。水準の高い/低いものを順に見ることができます。
データ可視化のポイント
ここまで、データ可視化のメリットや構成要素をご紹介してきました。続いては、それらを使いマーケティングを実施する際にポイントとなる点を説明していきます。
詳しくは、以下の記事でも解説していますので、合わせて御覧ください。
>>BIツールで作成するチャートの基本10パターン:可視化のエッセンス
目的を明確にする
膨大で幅広いデータのどこを切り取って使えばよいのかは、データを使う目的によって変わります。目的が定まっていないと、データの使い方が定まらず、きれいな図や表で可視化したとしても意味が伝わらないものになってしまいます。
逆にいえば、目的を定めてしまうことで、どのデータをどのような形にするかが明確になり、運用の軸がぶれることはありません。
ストーリーをつくる
図やグラフにできたデータのどこに注目すべきかは、ストーリーによって決まります。ストーリーとは、分析したデータをもとに戦略を立て、どのようなゴールに向かうのかという道筋のことです。
現状のどのポイントを改善するかを定めないと、販売促進の方向性が決まりませんよね。そのため、ストーリーがない限り、データはただ図や表として存在するだけで、そこから読みとるべきポイントを読み手は理解できないのです。
データを見る人に合わせたデザインにする
前述したとおり、データを可視化することによって、組織全体で共通認識を持つことが可能になります。しかしそのためには、さらに一段階工夫が必要になります。それは、見る人に合わせたデータの図や表を作ることです。
マーケティング部、経営層向けの資料であれば専門用語や複雑なグラフを使っても問題ないでしょう。しかし、グラフや表を見慣れていない人に対して難しい表を示しても、理解してもらえるのに時間がかかります。多くの人に向けてデータを示す場合は、なるべくシンプルな表で言いたいことを簡潔に表すものを作ると、より関心を引くことができるでしょう。
まとめ
マーケティングにおけるデータの可視化が、いかに重要なものであるか知っていただけたでしょうか?
デジタル化が進む社会の中で、データを活用することはとても便利ですが、データ活用そのものが目的になってしまっていることも少なくありません。適切なマーケティング戦略を練るためにも、目的を明確にしてからデータを運用していくことをおすすめします。