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Qlik SenseとSnowflakeで150億件のデータを可視化してみた

2019年10月30日

Qlik Senseユーザーの皆様、こんにちは。
Qlik Sense DesktopやTableauなどのBIツールを使っていると、DBサーバーに接続して大量のデータを分析することがありますが、
画面が固まってしまったり、PCのパフォーマンスが悪くなってしまうことがあります。
今回は通常BIツールでは扱えないような大量のデータを、
クラウドDWHのSnowflakeを活用して一瞬で分析できる方法をレポートしていきます。
 
(Tableauの記事は こちら)
 
 

1. Snowflakeの下準備

1-1. Snowflakeのアカウント作成・初期設定

Snowflakeのトライアルでは、1ヶ月で400ドル分のリソースを無料で利用することが出来ます。
トライアルを開始するには Snowflake にアクセスし、氏名、メールアドレス、会社名、国名(JapanでOK)を入力してアカウントを作成します。
 
Qlik SenseとSnowflakeで150億件のデータを可視化してみた
 
 
数分経つと登録したメールアドレスにアクティベート用リンクが送られてくるので、
リンク先にアクセスします。
 
Qlik SenseとSnowflakeで150億件のデータを可視化してみた
 

ログインを行うとコンソール画面が開かれ、アカウント登録が完了します。

 
この状態でもQlik Senseから接続を行うことは可能ですが、
その前にSnowflakeの ウェアハウス(クエリ実行などをするサーバー)の初期設定を行います。
 
コンソール画面上部の「Warehouses」を開き、
ウェアハウスを選択し「Configuration」を選択します。
「Configure Warehouse」で以下の項目を設定します。
  • Size: ウェアハウスの性能です。性能が高いほど消費コストが高くなります。今回のレポートでは一番性能が良い「4X-Large」を選択しました。
  • Auto Suspend: クエリ実行が終了してから次のクエリが実行されるまでに自動でウェアハウスがサスペンドされる時間です。今回は5分を選択しました。(設定ファイルでもっと短い時間を選択することもできます。)
  • Auto Resume: ウェアハウスがサスペンド状態の時にクエリが実行された時、自動でウェアハウスが起動されるようにするかの項目です。今回はオンにしました。
 

Qlik SenseとSnowflakeで150億件のデータを可視化してみた

1-2. Snowflake ODBCドライバーのインストール・設定

Snowflakeの設定が完了したので次は接続のための準備を行います。
 
Qlik Sense DesktopでSnowflakeに接続する方法はいくつかありますが、

今回はODBCで接続します。

 
 
SnowflakeはODBC接続するためのドライバーを以下のページで提供しているので、
そこからドライバーをダウンロード、インストールします。
今回は2019/10/25時点で最新だった「snowflake64_odbc-2.19.16.msi」をインストールしました。
 

(サポートしているOSや詳細情報などは公式ガイドを参照。)

 
ドライバーをインストールした後、
「ODBCデータソース」などでデータソースを作成します。
Qlik SenseとSnowflakeで150億件のデータを可視化してみた-1
 
 
「ドライバー」タブでSnowflakeのドライバーがインストールされていることを確認します。
 
Qlik SenseとSnowflakeで150億件のデータを可視化してみた-2
 
「システムDSN」タブでデータソースを追加します。
 
Qlik SenseとSnowflakeで150億件のデータを可視化してみた-3
 
「SnowflakeDSIIDriver」を選択し、設定に必要な項目を入力していきます。
 
Qlik SenseとSnowflakeで150億件のデータを可視化してみた-4
 
Qlik SenseとSnowflakeで150億件のデータを可視化してみた-5
 
【必要入力項目】
Data Source
名前。自由に設定可能
User
SnowflakeのログインID
Password
Snowflakeのログインパスワード
Server
Snowflakeのコンソール画面のURL
(他は空欄でも作成可能でした。)
 

1-3. Qlik Sense からSnowflakeへ接続

データソースの追加が完了したら、

Qlik Senseから作成したデータソースを利用してSnowflakeに接続します。

「新規データソースへの接続」でODBCを選択し、
Qlik SenseとSnowflakeで150億件のデータを可視化してみた
 
作成したデータソースに接続する為のユーザー名、パスワードを入力して接続を作成します。
 
Qlik SenseとSnowflakeで150億件のデータを可視化してみた-6
 
以下の画面でSnowflakeのデータベース等が確認出来たら接続設定完了です。
Qlik SenseとSnowflakeで150億件のデータを可視化してみた
 

チャート作成

2-1. Direct Discoveryでデータをロード

今回は単純な日次売上グラフを作成してみます。
Snowflakeに最初から入っているサンプルデータの、
購入情報をまとめた「ORDERS」テーブルを使用します。
Qlik SenseとSnowflakeで150億件のデータを可視化してみた-7
 
【テーブル概要】
Database
SNOWFLAKE_SAMPLE_DATA
Schema
TPCH_SF10000
行数
150億件
サイズ
516GB
 

ロードスクリプトエディタを開き、以下のように記入します。

SET ThousandSep=',';
SET DecimalSep='.';
SET MoneyThousandSep=',';
SET ThousandSep=',';
SET DecimalSep='.';
SET MoneyThousandSep=',';
SET MoneyDecimalSep='.';
SET MoneyFormat='¥#,##0;-¥#,##0';
SET TimeFormat='h:mm:ss';
SET DateFormat='YYYY-MM-DD'; // 日付のフォーマットをSnowflakeのものに合わせます
SET TimestampFormat='YYYY-MM-DD h:mm:ss[.fff]';
SET FirstWeekDay=6;
SET BrokenWeeks=1;
SET ReferenceDay=0;
SET FirstMonthOfYear=1;
SET CollationLocale='ja-JP';
SET CreateSearchIndexOnReload=1;
SET MonthNames='1月;2月;3月;4月;5月;6月;7月;8月;9月;10月;11月;12月';
SET LongMonthNames='1月;2月;3月;4月;5月;6月;7月;8月;9月;10月;11月;12月';
SET DayNames='月;火;水;木;金;土;日';
SET LongDayNames='月曜日;火曜日;水曜日;木曜日;金曜日;土曜日;日曜日';
SET NumericalAbbreviation='3:k;6:M;9:G;12:T;15:P;18:E;21:Z;24:Y;-3:m;-6:μ;-9:n;-12:p;-15:f;-18:a;-21:z;-24:y';
SET DirectTableBoxListThreshold = 10000000000; // テーブルチャートの行数が多い時に設定。デフォルトは1000
LIB CONNECT TO 'snowflake_test'; // コネクション名
DIRECT QUERY // Direct Discoveryの宣言や初期化
DIMENSION
O_ORDERDATE
MEASURE
O_TOTALPRICE,
O_ORDERKEY,
O_CUSTKEY
FROM SNOWFLAKE_SAMPLE_DATA.TPCH_SF10000.ORDERS;
 
Direct Query以下の行がDirect Discoveryの特徴的なフィールドとなります。
各フィールドは以下のような特性を持っています。
フィールドタイプ
メモリーにロードされるか?
関連付け
チャートでの利用
DIMENSION
される
軸に使用
MEASURE
されない
不可
メジャーに使用。集約関数が使用可能
DETAIL
されない
不可
表示は出来るがチャートや集約関数は使用不可
 
今回は以下のようにフィールドタイプを設定しました。(スクリプト参照)
DIMENSION O_ORDERDATE (注文日付)
MEASURE O_TOTALPRICE (金額)
O_ORDERKEY (注文ID)
O_CUSTKEY (顧客ID)
 
スクリプトを編集したらデータをロードします。
Qlik SenseとSnowflakeで150億件のデータを可視化してみた-8
 

150億件のデータですが、ロードは20秒程で完了しました。

ここでSnowflakeの方の「History」を開くと、
データロードの為のSQLクエリが実行されていることが確認できます。
Snowflake自体の実行時間は 4.8秒程だったことが分かります。
Qlik SenseとSnowflakeで150億件のデータを可視化してみた
 

2-2. チャート作成

データのロードが完了したらシートを新規作成し、チャートを作成します。
 
また、シート編集画面で「項目」を見ると先程指定したフィールドが確認できます。
項目名の左にあるアイコンにマウスオーバーすると、
その項目のフィールドタイプを確認できます。
Qlik SenseとSnowflakeで150億件のデータを可視化してみた-9
 
 
今回は日次の売上チャートを作成します。
「棒チャート」を選択し、
「データ」で軸に「O_ORDERDATE」、メジャーに「O_TOTALPRICE」を選択します。
(DIMENSIONは軸に、MEASUREはメジャーに利用します。)
 
 
ソートを「O_ORDERDATE」順で表示されるようにし、
Y軸の表示範囲を調整します。
Qlik SenseとSnowflakeで150億件のデータを可視化してみた

(注: 今回のチャートは分析が目的ではなく、Snowflakeを使用したパフォーマンス検証であるため、見やすいようチャートを拡大表示しています。)

フィルターチャートを追加し、
その軸を「O_ORDERDATE」に設定すると、
このようになりました。
Qlik SenseとSnowflakeで150億件のデータを可視化してみた-10
チャートの項目を設定し、表示されるまでに 10秒程かかりましたが、
Qlik Senseの アプリの動作は軽いままで、

150億件のデータを扱っている実感は全くありませんでした。

フィルターを有効にすると以下のようにチャートが更新され、
Qlik SenseとSnowflakeで150億件のデータを可視化してみた-11
 
 
5秒程でフィルターされたチャートが表示されます。
Qlik SenseとSnowflakeで150億件のデータを可視化してみた-12
 
 
SnowflakeのHistoryを見てみると、
数秒でクエリを実行し結果をQlik Senseに返していることが確認できます。
Qlik SenseとSnowflakeで150億件のデータを可視化してみた-13
 
 
ここからSQL Textをクリックすると、実行されたSQLクエリを確認できます。
下のクエリはフィルターを有効にした際に実行されたものです。
Qlik SenseとSnowflakeで150億件のデータを可視化してみた-14
 
 

まとめ

3-1. 150億行のデータを快適に扱える理由

なぜ大量のデータをここまで高速に処理できるのでしょうか?

150億件500GBのデータを可視化しようとしたら通常はもっと時間がかかりますし、アプリの動作も重くなります。
今回高速に大量のデータを可視化出来た要因は以下の2つです。
  1. Snowflakeの性能
  2. Qlik SenseのDirect Discovery

 

1.Snowflakeの性能
ビッグデータを処理するプラットフォームとして、Snowflakeは非常に高い評価を得ています。
一部の調査では、Amazon RedshiftやBigQueryよりもコストパフォーマンスが優れているという結果が出ています。 ( https://fivetran.com/blog/warehouse-benchmark)
クエリの内容にもよりますが、単純な集約関数のクエリであれば、以下のように2880億件10TBのデータも十数秒で完了することが出来ます。
Qlik SenseとSnowflakeで150億件のデータを可視化してみた-15
 
他にも、同じデータを利用して同じクエリを実行すると、
クエリを実行せずに過去の結果だけをミリ秒で返してくれる リザルトキャッシュ機能
データウェアハウス自体のキャッシュによるクエリの高速化機能があり、
大量のデータ処理高速化の大きな要因となっています。
 
 
2.Qlik SenseのDirect Discovery
しかし、たとえSnowflakeでデータを高速に処理をしたとしても、
可視化ツール側(今回だとQlik Sense)も渡されたデータを高速に処理できなくては意味がありません。
そもそも、500GBのデータは一般のノートパソコン(下記スクリーンショット参照)ではロードすら出来ません。
 
Qlik SenseとSnowflakeで150億件のデータを可視化してみた-16
それが出来たのは、Direct Discoveryのデータロード処理の仕方によります。
   Qlik SenseとSnowflakeで150億件のデータを可視化してみた
 

上記スクリーンショットはDirect Discoveryでデータをロードした際のログです。

「2406」という数字が表示されていますが、これはメモリにロードされたデータの数となります。
今回だと、元データにO_ORDERDATEが2406種類あり、
500GBの元データの内、それらだけがメモリーにロードされたことを表しています。

Direct Discoveryではこのデータを利用してデータソースを参照し、
チャートをリアルタイムに作成します。

なので、150億件のデータをQlik Senseで扱っているように見えて、
実はたったの 2406件(1列のみ)のデータとSnowflakeから帰ってくる クエリ結果しか扱っていなかったため、極めて快適に可視化することが出来たのです。
 
(下の画像を見ると、チャートフィルターを有効にした時のQlik Senseのメモリ使用量が低いことが分かります。)
Qlik SenseとSnowflakeで150億件のデータを可視化してみた以上、【Qlik Sense DesktopとSnowflakeで150億件のデータを可視化してみた】でした。
 
 
INSIGHT LABでは、Snowflake(スノーフレイク)についてもナレッジ情報を発信しております。
Snowflakeにもご興味ございましたら、ぜひ、以下のサイトも覗いてみて下さい。
 
 
 
BI LAB編集室

Written by BI LAB編集室

BI LAB(データ活用研究所)編集室です。 BI、AI、DWHなどデータ活用に関するトレンドやニュースやコラムをほぼ毎日配信しています。押さえておきたい基本知識から、最新ニュース、事例インタビューやお役立ち情報・セミナーレポートまで、データ活用の専門家ならではの視点と情報量でお届けします。

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