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はじめに

こんにちは!INSIGHT LAB株式会社のKin-chanです。IT業界に居なかった人がデータのことについて理解しようとするこのシリーズ。今回が第6回目となります。以下に過去の記事リストをまとめてみましょう。意外に回数重なってるんですね。

 

さて今回は「データマネジメント戦略と組織構成」についてです。以下の流れで進めていこうと思います。

データマネジメント戦略と組織構成 目次

  • 戦略とは
  • データマネジメント戦略とはおよび成果物
  • データマネジメントを進めるにあたっての組織構成

 

戦略とは

「戦イヲ略スル」と書いて戦略(せんりゃく)と読みます。いかに戦闘を省略して相手に勝つか?を最大目標とした「物事に対しての大方針」であると言えます。

戦略に似た言葉に「戦術」という言葉がありますよね。「戦術」は戦略という大方針のもと、「具体的にどのような方法で戦うか」を決定するものです。戦略の対象は大域的、戦術の対象は局所的である、ととらえておきましょう。

 

データマネジメント戦略とは、および成果物

データマネジメント戦略では以下の要素を策定します。

  • データマネジメントに対するビジョン
  • 具体例を含んだデータマネジメントの業務提案概要
  • 基本理念、価値観、マネジメントの視点
  • データマネジメントの使命と長期的な目標
  • データマネジメントの成功度合いを評価する基準
  • 短期的SMART(※)データマネジメントプログラムの達成目標
  • データマネジメントの役割と組織の説明、責任と決定権の概要
  • データマネジメントプログラムの要素と構想の説明
  • 実施範囲を定めた優先プログラム
  • プロジェクトやアクション項目を含む実施ロードマップの草案

(※)
短期的:「1~2年スパン」であることを表しています
SMART:Specific(具体的)、Measurable(測定可能)、Actionable(実行可能)、Realistic(現実的)、Time-bound(期限付きの)の頭文字をとった言葉

これらの要素を踏まえて、「データマネジメント戦略的計画案」として以下の成果物を作成しましょうとあります。

表1.データマネジメント戦略的計画案

  • データマネジメント憲章
    • 全体的なビジョン、ビジネスケース、目標、基本理念、成果の尺度、認識されているリスク、オペレーティングモデル
  • データマネジメントスコープ
    • 計画期間内の目標と目的(通常は3年分)、達成するために責任を負う役割、組織と個々のリーダー
  • データマネジメント実施ロードマップ
    • 特定のプログラム、プロジェクト、タスクの割り当てと導入マイルストーン(いつまでに何をやる)の提示

 

「はい、これからうちの組織はデータマネジメントを推進します!」と宣言するだけではなく、「データマネジメントを推進するために、いつまでに・あれを・この指標を目標としてやっていきます」を明示的にするために成果物を作成しましょうということですね。

 

データマネジメントを進めるにあたっての組織構成

前回の記事でCDO(Cheif Data Officer)を任命して、組織全体のデータ戦略を表1で示した内容のように策定し、データマネジメント推進の旗振り役としてを担ってもらいましょう、ということを記載しましました。

旗振り役がいるだけではデータマネジメントは推進できません。DMBOK2では以下のようにチームを組んで各役割において組織全体のデータマネジメントを推進しましょう、と述べられています。

表2.データマネジメントを成功させるための組織構成

  • CDO
  • データガバナンス委員会
  • データスチュワード

 

また新しい言葉が出てきましたね。データガバナンス委員会とデータスチュワードですって。ひとつずつ見ていきましょう。

データガバナンス委員会

ガバナンス(governance)という言葉は「統治、統制」という意味を持っています。統制とは、計画を立て、実行を監視し、徹底させることです。

データガバナンスとは、データマネジメントに対して職務権限を通して統制することです。データガバナンス委員会はCDOの指導の下で組織のデータマネジメントに対して統制を効かせる役割を持ち、データマネジメント推進に係るポリシーや実施標準をガイドラインをとして策定をし、実施状況を監視する組織です。

データスチュワード

スチュワード(steward)という言葉は「他人の財産を管理する人」という意味で、執事や管財人のことを指します。つまりデータスチュワードは「データの管理業務を行う人」で、データガバナンス委員会が策定したガイドラインに沿ってデータ品質と整合性を維持する業務を行います。

ここまでをまとめると、「CDOの指導の下、データガバナンス委員会がガイドラインを策定し、データスチュワードがガイドラインで定めた内容を実施する」。三位一体でデータマネジメントを推進しましょう、ということですね。

表3.CDO、データガバナンス委員会、データスチュワードの役割

役割 行うこと
CDO 組織全体のデータ戦略と方向性を策定し、データガバナンス委員会をリードする
データガバナンス委員会 CDOの指導の下、データガバナンスのポリシーやガイドラインを制定し、その実施を監督する
データスチュワード データガバナンス委員会が制定したガイドラインに従って、日常的なデータ管理業務を行いデータ品質と整合性を維持する

 

 

さいごに

今回の記事のまとめをしてみましょうか。

データマネジメントを推進するために、戦略を立て、成果物として憲章/スコープ/ロードマップを作成して方針/どこまでやるか/目標値等を設定し、CDO-データガバナンス委員会-データスチュワードとで連携してチームを組んで、組織のデータマネジメントを推進していきましょう、ということでしたね。

今回の記事までDMBOK2の第1章データマネジメントについて追いかけてきました。第1章にはDMBOK2全体の概要を紹介してもらえたという印象を持っておりますので、次回の記事で第1章データマネジメントのまとめをしてみようと思います。次回のIT業界に居なかった中の人がデータのことについて理解しようとするこのシリーズもお楽しみに!

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Kin-chan

執筆者 Kin-chan

千葉県船橋市出身・在住、44歳のIT業界ほぼ未経験のおじさん。前職では水産物(アサリやホンビノス貝などの2枚貝)の卸売小売(漁師さんから仕入れて、卸売市場への販売や通販サイト等で直接販売)の商売を経営していました。当時知られていなかったホンビノス貝をもっと知ってもらう活動やホンビノス貝の自動販売機、地元船橋の皆さんをつなげたくて朝市の開催なども手がけました。