目次
はじめに
こんにちは!INSIGHT LAB株式会社のKin-chanです。IT業界に居なかった人がデータのことについて理解しようとするこのシリーズ。今回が第6回目となります。以下に過去の記事リストをまとめてみましょう。意外に回数重なってるんですね。
回数 | タイトル |
0 | DMBOK 第2版 日本語版を読み進めてみる 序章 |
1 | DMBOK2を読み進めてみる 第1章(その1) |
2 | DMBOK2を読み進めてみる 第1章(その2) |
3 | DMBOK2を読み進めてみる「データマネジメントの原則」その1 |
4 | DMBOK2を読み進めてみる「データマネジメントの原則」その2 |
5 | DMBOK2を読み進めてみる「データマネジメントの課題」 |
さて今回は「データマネジメント戦略と組織構成」についてです。以下の流れで進めていこうと思います。
データマネジメント戦略と組織構成 目次
- 戦略とは
- データマネジメント戦略とはおよび成果物
- データマネジメントを進めるにあたっての組織構成
戦略とは
「戦イヲ略スル」と書いて戦略(せんりゃく)と読みます。いかに戦闘を省略して相手に勝つか?を最大目標とした「物事に対しての大方針」であると言えます。
戦略に似た言葉に「戦術」という言葉がありますよね。「戦術」は戦略という大方針のもと、「具体的にどのような方法で戦うか」を決定するものです。戦略の対象は大域的、戦術の対象は局所的である、ととらえておきましょう。
データマネジメント戦略とは、および成果物
データマネジメント戦略では以下の要素を策定します。
- データマネジメントに対するビジョン
- 具体例を含んだデータマネジメントの業務提案概要
- 基本理念、価値観、マネジメントの視点
- データマネジメントの使命と長期的な目標
- データマネジメントの成功度合いを評価する基準
- 短期的SMART(※)データマネジメントプログラムの達成目標
- データマネジメントの役割と組織の説明、責任と決定権の概要
- データマネジメントプログラムの要素と構想の説明
- 実施範囲を定めた優先プログラム
- プロジェクトやアクション項目を含む実施ロードマップの草案
(※)
短期的:「1~2年スパン」であることを表しています
SMART:Specific(具体的)、Measurable(測定可能)、Actionable(実行可能)、Realistic(現実的)、Time-bound(期限付きの)の頭文字をとった言葉
これらの要素を踏まえて、「データマネジメント戦略的計画案」として以下の成果物を作成しましょうとあります。
表1.データマネジメント戦略的計画案
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「はい、これからうちの組織はデータマネジメントを推進します!」と宣言するだけではなく、「データマネジメントを推進するために、いつまでに・あれを・この指標を目標としてやっていきます」を明示的にするために成果物を作成しましょうということですね。
データマネジメントを進めるにあたっての組織構成
前回の記事でCDO(Cheif Data Officer)を任命して、組織全体のデータ戦略を表1で示した内容のように策定し、データマネジメント推進の旗振り役としてを担ってもらいましょう、ということを記載しましました。
旗振り役がいるだけではデータマネジメントは推進できません。DMBOK2では以下のようにチームを組んで各役割において組織全体のデータマネジメントを推進しましょう、と述べられています。
表2.データマネジメントを成功させるための組織構成
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また新しい言葉が出てきましたね。データガバナンス委員会とデータスチュワードですって。ひとつずつ見ていきましょう。
データガバナンス委員会
ガバナンス(governance)という言葉は「統治、統制」という意味を持っています。統制とは、計画を立て、実行を監視し、徹底させることです。
データガバナンスとは、データマネジメントに対して職務権限を通して統制することです。データガバナンス委員会はCDOの指導の下で組織のデータマネジメントに対して統制を効かせる役割を持ち、データマネジメント推進に係るポリシーや実施標準をガイドラインをとして策定をし、実施状況を監視する組織です。
データスチュワード
スチュワード(steward)という言葉は「他人の財産を管理する人」という意味で、執事や管財人のことを指します。つまりデータスチュワードは「データの管理業務を行う人」で、データガバナンス委員会が策定したガイドラインに沿ってデータ品質と整合性を維持する業務を行います。
ここまでをまとめると、「CDOの指導の下、データガバナンス委員会がガイドラインを策定し、データスチュワードがガイドラインで定めた内容を実施する」。三位一体でデータマネジメントを推進しましょう、ということですね。
表3.CDO、データガバナンス委員会、データスチュワードの役割
役割 | 行うこと |
CDO | 組織全体のデータ戦略と方向性を策定し、データガバナンス委員会をリードする |
データガバナンス委員会 | CDOの指導の下、データガバナンスのポリシーやガイドラインを制定し、その実施を監督する |
データスチュワード | データガバナンス委員会が制定したガイドラインに従って、日常的なデータ管理業務を行いデータ品質と整合性を維持する |
さいごに
今回の記事のまとめをしてみましょうか。
データマネジメントを推進するために、戦略を立て、成果物として憲章/スコープ/ロードマップを作成して方針/どこまでやるか/目標値等を設定し、CDO-データガバナンス委員会-データスチュワードとで連携してチームを組んで、組織のデータマネジメントを推進していきましょう、ということでしたね。
今回の記事までDMBOK2の第1章データマネジメントについて追いかけてきました。第1章にはDMBOK2全体の概要を紹介してもらえたという印象を持っておりますので、次回の記事で第1章データマネジメントのまとめをしてみようと思います。次回のIT業界に居なかった中の人がデータのことについて理解しようとするこのシリーズもお楽しみに!
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